失踪する父親の姿を通して問う、
人間の存在意義。写真家・金川晋吾が個展開催
失踪を繰り返す実の父親と長年消息不明だった伯母を撮影し続けている写真家・金川晋吾が、横浜市民ギャラリーあざみ野で個展「長い間」を開催する。会期は2018年1月27日〜2月25日。
横浜市民ギャラリーあざみ野が現代の写真表現を紹介する企画展と、横浜市所蔵のカメラ・写真コレクション展を同時開催するシリーズ「あざみ野フォト・アニュアル」。2017年度の企画展では、10年に第12回三木淳賞を受賞し、16年に出版した写真集『father』でも注目を集める写真家・金川晋吾を取り上げる。
金川の写真を代表する「father」のシリーズは、失踪を繰り返す実父を08年から継続して撮影したもの。また、10年からは、20年以上も消息不明だった伯母(実父の姉)も同時進行で撮影し、16年の「あざみ野コンテンポラリー vol.7 悪い予感のかけらもないさ展」(横浜市民ギャラリーあざみ野)で初めて発表。両シリーズとも、現在も撮影を続けている。
本展は、父親と伯母を長年にわたって撮り続けたシリーズを中心に、未発表作を含めて構成。明確な理由なく社会から離脱する父と伯母の姿を通し、あらかじめ用意された役割を果たすことで社会的存在が約束される人間のあり方を根本から問い直す。