水墨と金彩を駆使した狩野派。
「墨と金―狩野派の絵画―」でその魅力に迫る
ときの権力者に愛され、江戸時代をとおして絵画の覇権を握った狩野派に光を当てた展覧会「墨と金―狩野派の絵画―」が、根津美術館で開催される。会期は2018年1月10日〜2月12日。
狩野派は、室町時代の京都に興った絵画の流派の一つ。ときの権力と結びついた狩野派は、足利将軍の御用を勤め、織田信長と豊臣秀吉に愛され、さらに徳川家康によって幕府御用絵師に取り立てられた。以降、狩野派は、江戸時代をとおして絵画の世界の頂点に君臨することとなる。
狩野派の基本は水墨だが、初代正信(まさのぶ)の子・二代元信(もとのぶ)は、中国的な既存の水墨画風を整理し、「型」をつくり出した。同時にやまと絵の彩色方を取り入れ、屏風における「金」の存在感を強めたと言われる。
さらに、桃山時代を代表する絵師・永徳(えいとく)は水墨と金彩を調和。その孫・淡幽(たんゆう)によって刷新された画風は、江戸時代絵画を特徴づけるものとなった。いっぽう淡幽と同時期に活動した山雪(さんせつ)は、探幽ら江戸狩野とは異なる京狩野の系譜を形成したという。
会場では、元信風を学んだ室町時代の優品や、探幽とその弟・尚信(なおのぶ)の代表作、山雪による作品などを展覧。本展は、「墨と金」という言葉に象徴される狩野派の魅力を体感することができる展覧会となっている。