2018.10.2

謎多き写真家・深瀬昌久の全貌を浮き彫りに。初の決定版となる写真集が刊行

60年代より日本写真の第一線で活躍した深瀬昌久(1934〜2012)の写真集『MASAHISA FUKASE』(日本語版:赤々舎)が9月19日に刊行された。本書は、深瀬が生前に雑誌に残した撮影後期や手記をもとに、その制作意図や背景を全26章にわたって丹念に追ったもの。5万字の作品解説とともに、深瀬の全貌を浮き彫りにする待望の集大成となる。

深瀬昌久 Untitled, from the series Ravens: Noctambulant Flight 1980 © Masahisa Fukase Archives
前へ
次へ

 深瀬昌久(1934〜2012)は北海道生まれの写真家。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、日本デザインセンターや河出書房新社などでの勤務を経て1968年に独立。「私性」と「遊戯」の視座に根ざした写真表現を幅広い手法で探求してきた。

 74年にニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催された日本写真の展覧会「New Japanese Photography」への出展を皮切りに、世界各国の写真展に参加。深瀬は不慮の事故により脳障害を負い、20年間の闘病の末、2012年に亡くなるが、その後17年には、フランスのアルル国際写真祭にて没後初となる回顧展「l'incurable égoïste」が、18年4月には京都のKYOTOGRAPHIEにて国内初の回顧展「遊戯」が開催されるなど、その表現はいまもなお高い評価を得ている。

深瀬昌久 Bifuka, from the series Private Scenes: letters from journey 1989 © Masahisa Fukase Archives

 現在もオランダ・アムステルダムの写真美術館「Foam」にて美術館では没後初となる大回顧展「Private Scenes」(〜12月12日)が開催されている深瀬。同展の開催にあわせて写真集『MASAHISA FUKASE』(日本語版:赤々舎)が9月19日に刊行された。本書は、深瀬が生前に雑誌に残した撮影後期や手記をもとに、その制作意図や背景を全26章にわたって丹念に追ったもの。

 深瀬昌久アーカイブスの創設者兼ディレクターのトモ・コスガによる5万字の作品解説とともに、 60年代より日本写真の第一線で活躍した深瀬の全貌を浮き彫りにする待望の集大成となる。