会田誠の次はシアスター・ゲイツ。「都市のヴィジョン」第2回の助成対象者が決定
公益財団法人大林財団が2017年にスタートさせた、2年に1度の助成制度「都市のヴィジョン − Obayashi Foundation Research Program」。初回の会田誠に続き、第2回の助成対象者がシアスター・ゲイツに決定した。
公益財団法人大林財団が2017年にスタートさせた助成制度「都市のヴィジョン − Obayashi Foundation Research Program」をご存知だろうか?
このプログラムでは、「豊かで自由な発想を持ち、さらに都市のあり方に強い興味を持つ国内外のアーティスト」を5人の推薦選考委員の推薦に基づいて決定。従来の都市計画の枠組みとは異なる視点から都市における様々な問題を研究・考察し、「住んでみたい都市、新しい、あるいは、理想の都市」のあり方を提案・提言する機会を与えるというもの。
初回は会田誠が助成対象者となり、「GROUND NO PLAN」展を開催したことは記憶に新しい。同展では、会田が考える未来の「都市」や「国土」をドローイング、完成予想図、建築模型、絵画、インスタレーション、映像、テキストなど、多様なメディアを用いて発表し、多くの人々が詰めかけた。
そして今回、第2回の助成対象者となったのは、アメリカのアーティスト、シアスター・ゲイツだ。
ゲイツは1973年イリノイ州シカゴ生まれ。現在も同地を拠点に活動している。自身の芸術的実践の場としてシアスター・ゲイツ・スタジオを築き、地域論や土地開発に注目した作品や彫刻、パフォーマンスを生み出しているゲイツ。都市計画・保存計画に対する関心と経験を活かし、「アートと生活の隔たり」を埋める活動を行っている。作品の根底にあるのは、黒人のスペースを正統的に(公的に) つくりたいという共有の願いを、アートの力と社会的実用性にのっとって実現させようという意識だという。
これまでの主な個展に「The Black Image Corporation」(グロピウスバウ、ベルリン、2019)、「Amalgam」(パレ・ド・トーキョー、パリ、2019)、「In the Tower」(ナショナル・ギャラリー、ワシントン D.C.、2017)、「True Valu」(プラダ財団、ミラノ、2016)などがある。
今回の選考について、選考委員長・住友文彦は次のようにコメントしてる。「強大な資本が個人の精神を荒廃させてしまう現代社会において、自分たちで生産し、共同体のつながりを復活させようとする彼の仕事は民族の違いを簡単に超えてしまうだろう。 そして作陶だけにとどまらない提案やプロジェクトを日本で見てみたいというのが、選考委員が一致して望んでいることだ。いまや世界中を飛び回るアーティストだが、おそらくもっともよく知っている国のひとつでどのような都市のヴィジョンを見せてくれるのだろうか。前回の対象者である会田誠とは異なるものになり、この助成事業が持つ可能性を押し広げてくれることをとても 期待している」。
なおゲイツは今回の助成を受け、調査・研究のために来日予定。展覧会の内容については、今後明らかにされるという。