芸術文化振興会が助成要綱を改正。「公益性」理由に取消しも可能に
文化庁が所管する独立行政法人日本芸術文化振興会が、文化芸術活動を助成する「芸術文化振興基金」の要綱を改正。「公益性」を理由に助成取り消しが可能となる改正が行われた。
文化庁が所管する独立行政法人日本芸術文化振興会(以下、芸文振)が、芸術文化活動を助成するために交付する助成金に関し、その交付要綱を改正。助成金の「内定取り消し」にあたり、「公益性の観点から不適当と認められる場合」、内定や交付の決定を取り消すことできるようになった。
日本芸術文化振興会は、「広く我が国の文化芸術の振興又は普及を図るための活動に対する援助を行い、あわせて、我が国古来の伝統的な芸能の保存及び振興を図るとともに、我が国における現代の舞台芸術の振興及び普及を図り、もって芸術その他の文化の向上に寄与することを目的」(公式サイトより)とする独立行政法人。
その活動のひとつとして助成事業があり、687億円の運用益(政府からの出資541億円、民間からの出えん金146億円)による「芸術文化振興基金」での助成と、文化庁の「文化芸術振興費補助金」を使った助成の2種類がある。今回、芸文振はこの2つの助成事業における交付要綱を、9月27日付で改正。第8条「交付の決定及び通知並びに不正等による交付内定の取消し」と第17条「助成金の交付決定の取消し」において、それぞれの取消し条件として
「その他公益性の観点から助成金の交付内定が不適当と認められる場合」
「その他公益性の観点から助成金の交付が不適当と認められる場合」
という文言を追加した。この改正は、美術だけでなく、音楽や舞踊、演劇などすべての分野に適用されている。
この「公益性の観点から不適当と認められる場合」とは具体的に何を指すのか。助成金の「募集案内」には、「不正行為等に係る処分」として次のような文言がある。
また、助成対象団体が団体として重大な違法行為を行った場合や、助成対象活動に出演するキャスト又は制作に関わるスタッフ等が犯罪などの重大な違法行為を行った場合には、「公益性の観点」から助成金の交付内定や交付決定の取消しを行うことがあります。
芸文振はこの部分を「不適当を認められる場合」の根拠としているという。
文化庁の助成金をめぐっては、「あいちトリエンナーレ2019」に交付予定だった約7800万円を突如として不交付とし、国会でも質疑が行われるなど、未だに事態は収束していない。
芸文振は今回の改正について「あいちトリエンナーレ2019」とは無関係と回答している。