自宅で展覧会をつくろう。12人のアーティストが参加する「プロジェクト・ル・ボスケ」をチェック
新型コロナウイルスの影響で多くの文化施設が閉鎖されたことをきっかけに、芸術表現との出会いを生む方法を考え、実践する「プロジェクト・ル・ボスケ」がスタート。初めはコンビニのネットプリントを利用して、自宅で展覧会をつくる仕組みを提案する。
新型コロナウイルスの影響で多くの文化施設が閉鎖されたことをきっかけに、アーティストの奥誠之と小山維子、キュレーターの黒沢聖覇、美術史家の吉村真を中心として、芸術表現との出会いを生む方法を考え、実践する「プロジェクト・ル・ボスケ」がスタートした。
「ル・ボスケ」とは、フランス語で「茂み」を意味し、画家のピエール・ボナールが南仏ル・カネに購入した家の名前でもある。ボナールは第2次世界大戦下の1939年から45年までこの家に引きこもり、家のなかや近所の風景をひたすら描いたという。
同プロジェクトが最初に提案するのは、誰もが自宅で展覧会をつくれる仕組みだ。12人のなかから4人のアーティストの作品データを選び、コンビニのネットプリントを利用して印刷。付属する指示書にしたがって家で作品を展示することで、展覧会が完成する。
参加アーティストは、うらあやか、大谷陽一郎、大橋鉄郎、奥誠之、小山維子、久保田智広、黒沢聖覇、関根ひかり、鈴木健太、中川元晴、花沢忍、ピエール・ボナール。
プロジェクトには1500円以上の任意の価格で参加することができ、参加者全員には後日展覧会カタログが郵送。記録集として、ボナール研究者である吉村の論考や企画者による対談などが掲載される。なお収益は初期費用に充てられ、余分は参加アーティストに均等に分配となる。
現在ウェブサイトでは、第1回購入期間が始まっている。参加者は、コンビニプリントの制約のなかで生まれた多彩な12人の表現の中から、作家の自宅やアトリエでの実際の展示風景、作品に対するコメントを参考に4人を選ぶことができる。家にいる時間が増えたいま、自分だけの展覧会をゆっくりと楽しんでみてはいかがだろうか。