史上初の「バーチャル藝祭」が開催。演奏、展示、パフォーマンス、トークイベントなどをバーチャルならではのかたちで発信
毎年9月に開催されてきた東京藝術大学の学園祭「藝祭」。今年の開催は新型コロナウイルスの影響により中止となったが、代わりにオンライン上に場所を移した「バーチャル藝祭」が開催されている。開催日程は9月4日〜6日。
毎年9月に開催されてきた、東京藝術大学の学園祭「藝祭」。近年は演奏会や展示のほか、学部1年生がつくる御輿と法被の発表や、学生が制作した小物類が並ぶアートマーケットなども行われ、藝大の一大イベントとなっていた。しかしながら、新型コロナウイルスの影響を考慮して今年の藝祭は4月に中止が決定。これを受けて、オンラインに場を移した史上初の「バーチャル藝祭」が9月4日〜6日で開催されている。
例年の藝祭で行われていた学生の作品展示は「バーチャル藝祭」のウェブサイト上で実施。日本画、油画、彫刻、デザイン、建築、先端芸術表現、芸術学、アニメーションの各学科の学年別展示が開催されている。
また、学科をまたいだ有志団体による展示として、妖怪をテーマとした作品が集まる「妖怪展」や、ガムランサークルの「音のしずく〜ガムランの響き〜」、フラメンコグループによる「León~スペインの風に乗って」、人との距離を考えるオンラインセッションプロジェクト「Can I see You now?」などもウェブサイト上で見ることができる。
音楽系の学生によるオンラインでの演奏会も開催される。「多くの人に音楽を届けたい」という想いから、学内の音楽系9団体が集まり、完全リモートで演奏動画を作成。「バーチャル藝祭」でしか聞くことの出来ない、1度きりの演奏が行われる。
また、学生が自由にパフォーマンスを行うことのできる場として藝祭を盛り上げていたイベントステージも、ウェブ上に場を移しムービーによる発表形式で開催。サンバやバンド演奏、アニメーション作品まで、様々なジャンルのパフォーマンスムービーが出揃った。
加えて、昨年まで行われていた「ミス藝大」を発展させた「藝大×コレクション(藝×コレ)」もオンライン上で展開される。性別に関わらずチームでひとつの作品をつくりあげ、各々の「美」をステージで表現するこの企画。本来はステージ上でのパフォーマンスを募集する企画だったが、これも通常開催の中止に伴い「バーチャル藝祭」内のSNS企画として開催されている。
さらに、ゲスト企画としては、生配信のトークショーを実施。9月5日14時より、映画監督の三島有紀子を招き、学生とのトークを行う。
藝祭委員長の木村浩太は「バーチャル藝祭」の開催について、次のようにコメントしている。「上野で巻き起こる『藝祭』の熱を、この広い電子の世界へと持ち出すことは決して出来ません。私たちが目指すべくは、この会場で新たな熱を生み出すことです。この会場だから届く思い、この会場だから提示できる問い、この会場だから答えることができる問いが、必ずあります。私たちが日々向かい合い続けてきた一人一人の芸術に、少しでも触れていただければ、幸いです」。