山種美術館が初のクラウドファンディングに挑戦。コロナで大幅減収、運営費用に
東京・広尾の山種美術館が、同館初のクラウドファンディングをスタートさせた。新型コロナの影響で減収が続いており、運営費用に充てる。
日本画の専門美術館として知られる広尾の山種美術館が、開館以来初めてとなるクラウドファンディングを「Readyfor」でスタートさせた。
山種美術館は、1966年に日本で初めての日本画専門の美術館として開館。以来、近代・現代日本画を中心とした収集・研究・公開・普及を行い、確固たる地位を確立してきた。しかしながら今年は多くの美術館同様、新型コロナウイルスの影響で長期の臨時休館を余儀なくされ、再開後も来館者の数は従来に比べ「はるかに少ない状況」だという。
また同館は、企業からの寄附金や公的な補助金に頼らない独立採算の美術館。その収入源は入館料やショップの売り上げが柱であるため大幅な減収が続いており、「収入の構造を考え直さなければならない局面を迎えている」。
今回、クラウドファンディングでは美術館の安定した運営継続のため、500万円を目標にキャンペーンをスタート。金額に応じて全13種のリターンを用意する。
同館はこのクラウドファンディングを「一過性の単発的な『緊急支援のお願い』ではなく、今後の美術館の運営のあり方を考える、ひとつの契機にしたい」としており、同館館長・山﨑妙子は次のようにコメントを発表している。
「独立した小さな美術館が今後も生き残っていくには、自分たちのたゆまぬ努力に加え、応援してくださる皆様にお力を貸していただくことがどうしても不可欠となっております。そこで、今回のクラウドファンディングに挑戦することを決めました。今回を機に、世界的にも貴重な文化遺産である日本美術を守るために、サポートしてくださる皆様の応援を受けながら、新たなかたちで活動を展開していきたいと思っています」。