国立西洋美術館館長の馬渕明子が退任。新館長には田中正之が就任
国立西洋美術館の館長を務めてきた馬渕明子が、3月31日に退任。4月1日に武蔵野美術大学教授の田中正之が新館長に就任した。
国立西洋美術館の館長を務めてきた馬渕明子が3月31日に退任。4月1日付で武蔵野美術大学教授の田中正之が就任した。
馬渕は1947年神奈川県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程を修了し、同大大学院博士課程、パリ第4大学大学院博士課程で美術史を学んだ。国立西洋美術館主任研究官、日本女子大学教授等を経て、2013年より7年8ヶ月にわたって、美術の専門家では初の女性館長として国立西洋美術館館長を務めてきた。
馬渕は在任中、同館コレクションの礎となった松方コレクションの調査を試み、また自身の監修により「北斎とジャポニスム―HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」(2017〜18)も開催。加えて、新型コロナウイルスによる休館中には、自ら同館収蔵品の解説を行うYouTube動画も公開するなど積極的に表に立ってきた。なお、サッカー好きとしても知られ、日本サッカー協会副会長を経て現在は顧問を務める。
馬渕は退任にあたって、コメントをFacebookの同館公式ページで公開。在任中に印象深かったできごとを次のように紹介している。「2019年は当館創立60周年に当たり、その数年前から改めて、創立のきっかけとなった松方コレクションの成り立ちや復元の調査を試みました。その過程で新しい資料や旧松方コレクションの発見等がありましたが、なかでも行方が知れなかったモネの《睡蓮、柳の反映》が破損された状態ではありましたが発見され、フランスから返還されたことは最も嬉しかったことのひとつです」。
後任として4月1日に館長に就任したのは、武蔵野美術大学教授で近現代美術史を専門とする田中正之。田中はこれまでキュレーターとして「ピカソ:子供の世界」展(2000)、「アメリカン・ヒロイズム」展(01)、「マティス」展(04)、「ムンク展」(07)といった同館の展示を手がけてきた。
なお、国立西洋美術館は館内施設整備のため、昨年10月より全館休館中。再開は22年春を予定している。