伊藤若冲の《動植綵絵》など皇室ゆかりの5件、国宝指定へ
文化庁の文化審議会は7月16日に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決によって、5件の美術工芸品を国宝・重要文化財に指定することを文部科学大臣に答申した。
文化庁の文化審議会文化財分科会は、7月16日に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決によって、5件の美術工芸品を国宝・重要文化財に指定することを文部科学大臣に答申した。官報告示後に、国宝は902件、重要文化財は1万812件となる。
今回、国宝に指定するよう答申されたのは、かつて皇室が所有し、現在は三の丸尚蔵館が収蔵する5件で、高階隆兼《絹本著色春日権現験記絵》(二十巻)、紙本著色蒙古襲来絵詞(二巻)、狩野永徳《唐獅子図》(一隻)、伊藤若冲《動植綵絵》(三十幅)、小野道風《屛風土代》(一巻)。
例えば伊藤若冲の《動植綵絵》は、若冲が40歳を過ぎたころから10年程度をかけて描き継ぎ、数度にわたって京都・相国寺に寄進した大連作。若冲の画業の中核に位置するものであり、審議会は「江戸時代中後期の京都を代表する作例のひとつとして、ひいては我が国の花鳥画の到達点のひとつとして極めて高く評価される」としている。
なお、三の丸尚蔵館の収蔵品はこれまで文化財指定の対象外として扱われており、今回が初の指定となった。