ジェフ・ベゾスの宇宙船がアートとともに旅をする。アモアコ・ボアフォの作品が外壁に
世界一の億万長者であるジェフ・ベゾスが設立した航空宇宙企業「ブルーオリジン」の宇宙船の外壁パネルに、アーティストのアモアコ・ボアフォによるトリプティク(三連画)作品が登場する。作品が描かれた宇宙船は今秋打ち上げられる予定だ。
7月に宇宙飛行に成功し、大きな話題を呼んだジェフ・ベゾス。そのベゾスが設立した航空宇宙企業「ブルーオリジン」の宇宙船の外壁パネルに、あるアーティストの作品が登場する。
これは、宇宙開発企業「Uplift Aerospace」による「Suborbital Triptych」プロジェクト。ガーナ出身のアーティストであるアモアコ・ボアフォに、ブルーオリジン社のニューシェパード・ロケットの3枚の複合パネルにトリプティク(三連画)作品を描くことを依頼するものだ。
作品が描かれたロケットは今秋打ち上げられる予定。宇宙を旅して地球に帰還することで、「芸術性を発見のエンジンとして、また地球の境界の向こう側にあるものの記録者として、宇宙開発の新たな段階」を示す。
ボアフォは1984年ガーナ・アクラ生まれで、現在はオーストリア・ウィーン在住。その作品はグッゲンハイム美術館やロサンゼルス・カウンティ美術館などの公的機関や個人コレクションに広く収蔵されている。また「TIME 100 Next 2021」で新進気鋭のリーダーとして選出され、アフリカ人アーティストとして初めてDiorとコラボレーションするなど、大きな注目を集めている。
今回のプロジェクトについてボアフォは、「このような規模のプロジェクトに招待されて光栄に思う。宇宙に打ち上げられる絵画を制作することは、想像を絶するものであり、率直に言って超現実的だ」とコメントしている。
また、Uplift Aerospace社のCEOであるジョシュ・ヘインズはこう続ける。「アーティストは、新鮮な視点を呼び起こし、見知らぬ土地を解釈するユニークな能力を持っている。『Suborbital Triptych』に描かれたアモアコの深遠な力強さは、ニューシェパード・ロケットを推進する力に新たな次元をもたらすだろう」。
ボアフォは初めて作品を宇宙に打ち上げるアーティストではない。KAWSが昨年実現した「KAWS:HOLIDAY SPACE」プロジェクトでは、宇宙服を着用したコンパニオンが探測気球を利用し、41.5キロメートルの成層圏に突入し、無重力状態で宇宙を約2時間かけて彷徨い地球に戻った。いっぽう、ボアフォの作品を搭載するニューシェパードのロケットは100キロメートル以上の宇宙空間に飛び出すと予想される。
なお、ZOZOの設立者でアートコレクターの前澤友作も2023年に月へ向かうプロジェクト「#dearMoon」を発表している。当初は、前澤自身に加え、画家、音楽家、映像作家などのクリエイターたちが1週間の宇宙滞在の予定だったが、現在は世界中のすべての人々に向けて同乗者を募集している。