レンブラント《夜警》の下でスケッチが発見。「創作過程についての新たな知見」
オランダのアムステルダム国立美術館で公開修復が行われているレンブラント・ファン・レインの代表作《夜警》。その絵具の下でスケッチが発見された。
2019年7月よりオランダのアムステルダム国立美術館で公開修復「Operation Night Watch」が行われているレンブラント・ファン・レインの代表作《夜警》。そのキャンバスに隠されていたスケッチが発見された。
同館館長のタコ・ディビッツは声明文で、今回の発見は《夜警》についての「研究における画期的な出来事だ」とし、これにより「この作品がどのようにつくられたのかを初めて理解することができた」とコメントしている。
これまでの研究では、《夜警》には数十ヶ所もの画家自身による修正があることがわかっているが、今回発見されたスケッチにより、さらに多くの修正が判明した。
例えば、レンブラントは民兵のクラース・ファン・クルイスベルゲンのヘルメットに羽を描いていたが、後にそれを塗り替えたことがわかった。また、ロンバウト・ケンプの脚の位置が調整されたことや、隊長と副隊長のあいだにもう1本の剣があったこと、そして背景に突き出た槍の数がより多くあったことなども明らかになっている。
「Operation Night Watch」チームは、最新の画像処理技術を駆使して同作の制作過程や現状についての理解を深めることもできた。
例えば、絵画の右下に描かれた子犬付近の白ばんでいる箇所は当初、絵具の結晶化によるものだという説が有力だったが、新たに発見されたスケッチにより、犬の輪郭がレンブラントの意図したものよりもはるかに薄くなっていることが判明した。
アムステルダム国立美術館の絵画保存責任者であるペトリア・ノーブルは、「新しいディテールを発見するたびに、レンブラントの創作過程、つまり、彼の最初のアイデア、思考過程、素材や芸術的な選択について、新たな知見が得られる」とし、「これらの発見により、私たちはレンブラントのほかの絵画をいままでとは違った目で見ることができるようになり、何を探すべきかがわかった」と述べている。