秋に開業の虎ノ門ヒルズ ステーションタワー。ギャラリー有する「TOKYO NODE」 やパブリック・アートも
森ビル株式会社は、23年秋に開業を予定している「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」(虎ノ門一・二丁目地区第一種市街地再開発事業 A-1 街区)の詳細を発表した。アートファンも注目すべきポイントは?
東京都心部の虎ノ門ヒルズエリア。森ビルはこの秋、新たに「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」を開業させる。同ビルは地上49階、地下4階、高さ約266メートルの超高層タワーで、東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ」駅と街の一体的に開発されるものだ。
森ビルはこれまで「虎ノ門ヒルズ 森タワー」(2014年竣工)、「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」(2020年竣工)、「虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」(2022年竣工)を相次いで建設。今回の「ステーションタワー」が加わることで、虎ノ門ヒルズは区域面積約7.5ヘクタール、延床面積約80万平米へと拡大する。規模としては六本木ヒルズ(区域面積約11.6ヘクタール)に匹敵するものだ。
建築デザインを担うのは、OMAのパートナーおよびニューヨーク事務所代表として世界的に注目を集める重松象平。OMAとしては東京初の大規模建築プロジェクトとなる。
今回のデザインコンセプトは「アクティビティバンド」。新虎通りから赤坂・虎ノ門エリアに抜ける「都市の軸線」を意識し、その軸線上に人々の活動が集まるような象徴的な場所を目指してデザインされているという。
この超高層タワーは周辺のパブリック・スペースとのつながりも意識されており、幹線道路である桜田通り(国道1号線)上に「森タワー」のオーバル広場へと接続する、幅員20メートルの大規模歩行者デッキ「T-デッキ(愛称)」を整備。これによって「虎ノ門ヒルズ」の各施設がバリアフリーで接続されることとなる。
「ステーションタワー」で注目したいのが、最上部にある「TOKYO NODE」とパブリック・アートだ。
「TOKYO NODE」は45階~49階(一部8階)に位置するもので、約1万平米の情報発信拠点。ビジネス、アート、エンターテイメント、テクノロジー、ファッションなど、領域やジャンルを横断した新たな体験や価値、コンテンツや情報を創出することを目指す。メインホールとそれぞれ特徴的な3つのギャラリーが配されており、それぞれ単体での利用のみならず、連結した回遊型の会場としての一体利用も可能。3つのギャラリーを合わせると六本木ヒルズの森美術館に匹敵する規模となり、将来的には展覧会が開催される可能性もあるだろう。
虎ノ門ヒルズのオーバル広場には、象徴的な存在としてジャウメ・プレンサによる巨大な彫刻作品《ルーツ》(2014)が設置されているが、今回の「ステーションタワー」でも様々なパブリック・アートが追加されることとなる。
新たに加わるのは、レオ・ビラリール、ラリー・ベル、大庭大介、N・S・ハルシャの4作家による作品。このうちN・S・ハルシャ以外の3作家はすべて今回のために新作(コミッション・ワーク)を手がける。
作家・作品選定には、「江戸城外堀の城門でもあった虎ノ門の街の記憶や歴史を未来へ継承していく」という想いが込められており、「国際新都心・グローバルビジネスセンター」として広く世界に発信していくことも強く意識されているという。
今年、森ビルはこの虎ノ門ヒルズのみならず、トーマス・ヘザウィックやシーザー・ペリ、藤本壮介らが参画する「麻布台ヒルズ」も竣工し、「チームラボボーダレス」が移転する。このほか、24年には戸田建設が進める「京橋一丁目東地区計画」で芸術文化に注力した「TODA BUILDING(TODAビル)」が竣工。29年度には、東京建物が「(仮称)京橋三丁目東地区市街地再開発事業」で「アートセンター(仮称)」を整備する。大規模開発において、もはや「アート」は必須要素だ。