「Paris+ par Art Basel」がついに始動。スイスの巨大企業により洗練されるパリのアートフェア
世界最大のアートフェア「アート・バーゼル」が、10月20日ついにパリでも始動した。その名も「Paris+ par Art Basel」(英語名称は「Paris+ by Art Basel」)。1974年からパリで芸術の秋を彩り、会場が奪われて現在休止中のFIACと何が変わり、現地にはどのように受け入れられたのだろうか?
何が変わったのか?
美術手帖でもすでに伝えてきた通り、毎年10月第3週目にパリでもっとも権威的な展覧会場・美術館であるグラン・パレを会場に開催するアートフェアの運営組織が、「アート・バーゼル」の親会社であるスイスのMCHグループとなった。今後7年間の運営利権を持つ。それに伴い、フェアの名前だけでなく、ディレクターも交代となっている。
場所は前回同様、仮設のグランパレ・エフェメール。2024年には改修が終わるグラン・パレでの開催を予定しているが、10月第2週に開催されるフリーズ・ロンドンに比しても小規模だ。アート・バーゼルのグローバル・ディレクターであるマーク・シュピーグラーは18日の記者会見でも、今後別会場を展開する可能性を示唆し、フランスの民間美術財団(ルイ・ヴィトン財団、ピノー・コレクション、カルティエ財団など)とその高級ブランドとも密接なパートナーシップを築くだろうと予想されている。
当面は、FIACとその運営業者RXを追い出したかたちとなったグラン・パレを運営する国立美術館連合(RMN-GP)が公約した懐柔策の通り、FIACのアイデンティティを受け継ぎながら、アート・バーゼルの国際的なVIPネットワークと彼らを満足させるノウハウをもって長期的にパリとの親和性を高め、他都市で開催するフェアとの差異化を図る。