世界を覆う雑草の生命力を写す。
渡邊耕一が個展「Moving Plants」を開催
植物をテーマにした作品を制作している写真家・渡邊耕一が、資生堂ギャラリーで個展「Moving Plants」を開催。日本から全世界に広まったイタドリという植物のリサーチをもとに制作された作品と資料を展示する。会期は2018年1月13日〜3月25日。
渡邊耕一は1967年大阪府生まれ。90年に大阪市立大学文学部心理学専攻を卒業後、2000年にIMI研究所写真コース修了。15年に初の写真集『Moving Plants』を出版し、17年には、人々やモノを動かす存在としての植物をテーマにデンマークで開催された同名のグループ展に参加するなど、植物をテーマにした活動を続けている。
そのなかでも、渡邊が10年以上にわたって撮りつづけているのが、イタドリという雑草だ。イタドリは日本各地に生息し、古来より薬草や食材としても用いられてきた植物だが、約200年前、当時長崎に滞在していたシーボルトが園芸用にヨーロッパに持ち出したことをきっかけに、世界各地でその土地の生態系を変えてしまうほど繁殖している。
渡邊は、北海道の風景を撮影するなかでイタドリに偶然出会って以来、その生態のリサーチを続けており、文献の調査や植物学者との交流を行いながら、これまでイギリス、オランダ、ポーランド、アメリカなど世界中のイタドリの生息地で撮影を行ってきた。
本展は、渡邊がイタドリを追うこのプロジェクトの全体像を示す初めての展覧会。人の背丈ほどに成長した植物の迫力を伝える大型の写真作品や、世界各地の籔に分け入って撮影したドキュメンタリーフィルム、リサーチに用いられた貴重な資料などが展示される。
会期中には、インディペンデント・キュレーターの長谷川新や、京都教育大学美術科講師で庭師の山内朋樹をゲストに迎え、渡邊との対談も行われる。