上海で注目のアートフェア「ウェストバンド・アート&デザイン」が開幕。そのハイライトをチェック(後編)
中国本土最大級のアートフェアである「ウェストバンド・アート&デザイン」。その第6回目が、11月7日に開幕した。18ヶ国から108のギャラリーが参加する今回のフェアのハイライトを前後編で振り返る。
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2つの巨大なホールを使用する「ダブルホール」形式で行われる中国本土最大級のアートフェア「ウェストバンド・アート&デザイン」。その第6回のハイライトを、2回にわたって紹介。後編となる本稿では、昨年誕生した「ホールN」の様子をお届けする。
ホールNはホールAと比較し、1ブースあたりの平均面積はやや小さく、57のギャラリーがプレゼンテーションを行う。
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このホールNでもっとも活気があふれていたのは、東京・天王洲にあるKOTARO NUKAGAのブースだろう。同ギャラリーは、ニューヨークを拠点に活動するアーティスト・松山智一の個展を中国本土で初めて開催した。
シェイプト・キャンバスと鮮やかな色彩、複数のモチーフの融合で作品を見せる松山は、「コンシューマーカルチャーとアートヒストリーを融合させ、現在の多様性を表現している。抽象的な日本の器のかたちをキャンバスに引用した」と語る。海外の美術館にも次々と作品が収蔵され、パブリック・アートも手がける松山には大きな注目が集まっており、作品は初日で完売となった。
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このほか、マドリードのGaleria Albarran Bourdaisは、クリスチャン・ボルタンスキーの「モニュメント」シリーズや《スクラッチ》(2002)といった作品を販売。ロンドンとニューヨークに拠点を置くMarlboroughは、《夢遊病者》などの彫刻作品でリアルな人物像を制作するトニー・マテリの作品と、横10メートルにもおよぶ杉本博司の巨大な海景を同時に展示。ホールNでのフォトスポットとなっていた。
ミュージアムクラスの作品が揃い、各ブースが趣向を凝らしたプレゼンテーションを行うウェストバンド・アート&デザイン。洗練を見せる上海アートシーンの現在をぜひチェックしてほしい。
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