ロロ・ピアーナのフィロソフィーをアートで伝える。Weirdcoreによる展覧会「An Odyssey of Touch」が10日間限定で開催
今年6月、新たな旗艦店を銀座にオープンしたロロ・ピアーナが、そのブランドフィロソフィーを伝える展覧会「An Odyssey of Touch」をロロ・ピアーナ銀座店にてスタートさせた。
カシミヤやビキューナなど、希少な素材を使ったファブリックで知られるイタリアのラグジュアリーブランド「ロロ・ピアーナ」。その新たな旗艦店の誕生を記念した展覧会が、ロロ・ピアーナ銀座店でスタートした。会期は10⽉16⽇〜25⽇。
ロロ・ピアーナは6世代にもわたる歴史を持つ、イタリアの老舗ブランド。日本における旗艦店であるロロ・ピアーナ銀座店は、日本を代表する建築家のひとりである青木淳が設計したことでも話題を集めている。
その店内4階、通常はメイド・トゥ・オーダーを常設するVIPルームを会場に開催されるのが、「An Odyssey of Touch」だ。この展覧会は、ロンドンを拠点にするビジュアルアーティスト・Weirdcore(ウィアードコア)によるデジタル・インスタレーション。Weirdcoreはこれまで、レディオヘッドやファレル・ウィリアムスなどの世界的アーティストとコラボレーションし、⾳と映像を組み合わせた作品を多く⼿がけてきた。
本展で、Weirdcoreはロロ・ピアーナを象徴する要素である「手に触れる感覚」「自然との関係性」を探求し、ブランドに共鳴する3つの新作を展示する。
会場に入って最初の作品《Nature》は、カシミアのソファに囲まれた巨大な映像作品。日本の庭園からイメージした蓮の池が様々な変化を見せる同品は、静謐な水面の下に秘められた活気あふれる様子を表現したもの。ロロ・ピアーナによる蓮の花の繊維を使ったファブリック「ザ・ロータス・フワラー」ともリンクする。
会場中央にあるのは、まさにロロ・ピアーナのクラフツマンシップを体現するようなインスタレーション《Infinite Connection》だ。ロロ・ピアーナのカシミアを紡ぎ、織った繊維とリンクさせた作品で、鏡張りの4面体のなかに設置することで無限の光景を生み出した。
ロロ・ピアーナ銀座店のロケーションを感じさせるのが、巨大なスクリーンの《Cloud City》。同作は、東京の風景とカシミアのような雲をコラージュし、刻々と移り変わる様子がトロンプ・ルイユ(だまし絵)の窓の外を流れていく。
会場ではサウンドにも注目したい。インスタレーション全体を包み込む音楽には、坂本龍一の楽曲が使用され、ミュージシャン/プロデューサーのジョン・ゴズリングがそれをリミックスした。
ロロ・ピアーナのブランドフィロソフィーを体現するような作品が並ぶ今回。その開催背景について、同社コリア&日本担当マネージング・ディレクターのニック・ワディントンは次のように語る。
「日本ではまだまだロロ・ピアーナが十分に理解されていない。だから(ファションではない)何か別の表現でロロ・ピアーナが大事にしていることを明確に伝えたかったのです。通常のオープニングパーティーではなく、『美術館』というかたちでお客様を招き入れたいと考えたのがこの展覧会。我々は自然から良質な素材をいただき、加工しており、そのことで自然を守る義務が発生する。我々のサステイナブルな取り組みとともに、自然を讃えるためにこの展覧会を企画した」。
ロロ・ピアーナ銀座店では今後どのようなアートとの取り組みが行われていくのか。この旗艦店の試みに期待したい。