「LOUIS VUITTON&」展に見る、ルイ・ヴィトンとアーティストのコラボレーション史
ルイ・ヴィトンは、これまで同ブランドが行ってきた様々なアーティストとのコラボレーションプロジェクトを一堂に紹介する展覧会「LOUIS VUITTON &」を原宿のjingで開催。その見どころをレポートする。
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ルイ・ヴィトンが2016年に麹町の特設会場で開催した大規模な展覧会「Volez, Voguez, Voyagez – Louis Vuitton(空へ、海へ、彼方へ──旅するルイ・ヴィトン)」展は、そのクリエイションの歴史を概観するものとして大きな注目を集めた。それから5年、原宿のjingで始まった「LOUIS VUITTON &」は、「旅するルイ・ヴィトン」展に匹敵する内容となった。
本展は、展覧会タイトルの「&」に象徴されるように、ルイ・ヴィトンとアーティストたちとのあいだで育まれてきたインスピレーションの歴史にフォーカスするもの。会場はそれぞれ異なる趣向でデザインされた10のスペースで構成されている。そのハイライトを紹介しよう。
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会場冒頭、来場者を迎えるのはアーティスト集団「ダムタイプ」のメンバーである池田亮司によるマルチメディア ・ インスタレーション《クリティカルポイント》だ。ミラー仕様のフロアと吊り下げられたLEDスクリーンによって区切られたこのスペースで、池田が本展のために制作した作品に没入したい。
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池田亮司のインスタレーションの次に待ち受けるのは、ブランドの原点。もともと創業者のルイ・ヴィトンはトランク職人としてキャリアをスタートさせ、1854年に初の店舗をパリに構えた。その後、ルイ・ヴィトンは数世代にわたりあらゆる分野のアーティストとクリエイティブな対話を繰り広げ、彼らのニーズに合わせてカスタマイズしたトランクを製作するようになった。この伝統は現代にも引き継がれている。
「ルイ・ヴィトン:受け継がれる真髄(こころ)」と題されたこのセクションでは、アレックス・カッツら現代の作家が描いたルイ・ヴィトンの肖像画とともに、ダミアン・ハーストのトランクなどを展示。ルイ・ヴィトンとアートとの強い結びつきを端的に表している。
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1980年代の終わりになると、ルイ・ヴィトンはソル ・ ルウィット、ジェイムズ ・ ローゼンクイスト、ガエ ・ アウレンティ、アンドレ ・ プットマンといったアーティストに声をかけ、テキスタイルシリーズのコラボレーションをスタートさせている。「シルクを彩る」では、スティーブン・スプラウスによるテキストが全面に施された空間で、村上隆やジェフ・クーンズなど、国際的なアーティストたちとつくり上げられたシルクスカーフが、平面作品のように並ぶ。圧巻の光景だ。
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ルイ・ヴィトンを代表する「モノグラム」の誕生から100年目に当たる1996年と、その後の2014年、ルイ・ヴィトンはこのアイコニックなキャンバスを讃えるため、世界でも有数のデザイナーや類稀なクリエイティブな人物に声を掛け、メゾンのクラシカルなバッグを再解釈した新たなデザインを依頼した。「アイコンの再解釈」セクションでは、カール・ラガーフェルドやシンディ・シャーマン、川久保玲などによって新たな生命を吹き込まれた「モノグラム」が勢揃い。なおこの部屋では、14年に開館したフランク ・ ゲーリー設計の「フォンダシオン ルイ ・ ヴィトン」の3Dモデルや、ザハ・ハディドによる「バケット・バッグ」も紹介されている。
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本展で唯一、単独のアーティストを紹介するセクションが「川久保玲によるルイ ・ ヴィトンの世界」。ルイ・ヴィトンと川久保は、08年に6つの「パーティーバッグ」のカプセルコレクションを発表。川久保は本展のためだけに、このアイコニックなバッグをレザーで構想した。なおこのセクションの空間演出は、巨大サイズの「バッグ ウィズ ホールズ」をイメージしたものだ。
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ルイ・ヴィトンのバッグは、多くの現代美術作家たちの「キャンバス」でもある。本展中盤のセクションでは、村上隆やスティーブン ・ スプラウス、ジェフ ・ クーンズ、草間彌生らによって再解釈されたボストンバッグが鮮やかな映像とともに展示。またその対面には、、12人のアーティストがデザインした「アーティーカプシーヌ」が並ぶ。
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草間彌生と村上隆は、本展でも重要なポジションの作家だ。ルイ・ヴィトンと草間は12年、「モノグラム」と草間の代表的なモチーフであるドットを組み合わせたシリーズを発表。また村上は03年にチェリーブロッサム ・ モチーフのバッグとキャラクターバッグでコラボレーションして以降、05年春夏の「チェリー」シリーズ、08年の「モノグラモフラージュ」、「お花」や「スマイリーフェイス」とモノグラムを組み合わせた限定製品「コスミックブロッサム」コレクションなどを手がけてきた。「ルイ ・ ヴィトンと日本:レザーグッズの伝説」のセクションでは、このふたりのクリエイションの全容を見ることができる。
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ルイ・ヴィトンは1998年にファッション ・コレクションを発表して以来、著名なアーティストとの大胆なコラボレーションを次々と行い、つねに注目を集めてきた。本展最後のセクションを飾るのは、こうしたアートとファッションの親密なコラボレーションの成果だ。
なかでも重要となるのが昨年逝去した山本寛斎だろう。ルイ・ヴィトンは18年のクルーズ ・ コレクションで、寛斎を讃えるモチーフを採用。このコレクションの一部とともに、山本寛斎がデヴィッド・ボウイのために制作した伝説的な「ジャンプスーツ」も展示されている。
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ルイ・ヴィトンとアーティストたちとの強い結びつきをあらためて概観できる「LOUIS VUITTON&」。その世界に没入してほしい。
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