「Rhizomatiks 10」でたどるライゾマティクス10年の軌跡
表参道のスパイラルガーデンで、プランニングから制作までプロジェクトのすべてを担うフルスタック集団「Rhizomatiks(ライゾマティクス)」の創立10周年を記念した展覧会「Rhizomatiks 10」が始まった。記念碑的な展覧会の様子をお届けする。
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縦横無尽に増殖する根茎・地下茎を意味する「Rhizome」を語源とする「Rhizomatiks(ライゾマティクス)」。2006年に真鍋大度、齋藤精一、千葉秀憲、堀井哲史の4人によって設立され、最新テクノロジーを使ったメディア・アートやデザイン、広告など領域横断的な活動を展開してきたスペシャリスト集団が、昨年創立10周年を迎えた。
16年からは、デジタル表現を研究し、エンターテインメントに拡張する「Research」、新たな建築の概念を提示する「Architecture」、デジタル技術を駆使してソリューションを探る「Design」の3部門に分かれて新体制で活動をスタートさせ、東京ドームシティにオープンした多目的ギャラリー「Gallery AaMo」では、「Research」とダンスカンパニー「ELEVENPLAY」とのコラボレーションによるダンス・インスタレーション公演「Rhizomatiks Research x ELEVENPLAY Dance Installation at Gallery AaMo」(17年4月16日・17日)を開催し、好評を博すなど、その活動領域は留まるところを知らない。
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そんなライゾマティクスの創設10周年を記念した本展「Rhizomatiks 10」では、これまで彼らが手がけてきたプロジェクトを一堂に紹介する。「10 Years Archive of Rhizomatiks」では、これまでの作品成果とともに、プロジェクトのプロセスや背景となるテクノロジーを時系列で紹介し、その足跡をたどることができる。120台のディスプレイが並ぶ様子は圧巻だ。アーカイブ映像のプロジェクション投影画像は、プロジェクトや技術が関連しているものが系譜図のように現れ、技術がどのような段階を追って応用されているかを可視化している。
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また、巨大なバルーンが浮かぶ吹き抜けの空間では、ELEVENPLAYとのコラボレーションによる体験型ダンス作品《border》から派生して制作された《border installation ver.》を体験することができる。鑑賞者はVRヘッドディスプレイを着用し、ダンサーが登場しない仮想空間に、AR / VRと音響による表現を楽しめる。本作は、スパイラルホールガーデンのアトリウムを3Dスキャンして球体バルーンのAR / VR演出を行うもので、ここだけの空間に没入できる。
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そのほか会場では「10 Years Archive of Rhizomatiks」では収まりきらなかったプロジェクトや、NG集ともいえる過去の失敗例なども映像で展示。まさにライゾマティクスのこれまでを総覧することができる内容となっている。
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