ゴッホが日本から受けた影響とは? 「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」が上野で開幕
東京・上野の東京都美術館で10月24日より、「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」が開催される。オランダのファン・ゴッホ美術館との共同プロジェクトとなる本展の見どころとは?
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日本で初めてファン・ゴッホ美術館との共同企画展となる「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」は「パリ 浮世絵との出逢い」「アルル 日本の夢」「深まるジャポニスム」「自然の中へ 遠ざかる日本の夢」「日本人のファン・ゴッホ巡礼」の5章構成により、ゴッホと日本の関係性を検証するもの。
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日本の浮世絵を、自身の作品に積極的に取り入れた画家として知られるゴッホ。誰もが知る《画家としての自画像》(1887 / 88)から始まる本展は、浮世絵を大胆に模写した油彩画《花魁(渓斎英泉による)》(1887)が一つのハイライトと言えるだろう。
渓斎英泉の《雲龍打掛の花魁》を主題にした本作は、蓮の花が浮かぶ水面や鶴など、様々な絵師が別作品で描いたモチーフを組み合わせている。それらをゴッホらしい、力強い筆致と鮮やかな色彩でまとめあげた本作は、いかにゴッホが浮世絵に心酔していたかを強く物語っているだろう。
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このほか本展では、ゴッホに大きな影響を与えたであろう、歌川広重や葛飾北斎などの浮世絵約50点も随所に展示。日本の浮世絵版画から学んだ要素を取り込んだ《寝室》(1888)や、大首絵、美人画などの影響を感じさせる《アルルの女(ジヌー夫人)》(1890)、《男の肖像》(1888)などをあわせて展示することで、その直接的あるいは間接的な影響を示そうと試みている。
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また第5章「日本人のファン・ゴッホ巡礼」では、ゴッホの死後、ゴッホゆかりの地・オーヴェールを訪れた日本人、約240人が名を残した3冊の「芳名録」を日本初公開。里見勝蔵や佐伯祐三ら、「芳名録」に署名した画家たちの作品に加え、写真、スケッチなど約80点の資料によって当時の様子を知ることもできる。
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なお、内覧会ではNHKで11月に放送予定の特集番組「ゴッホは日本の夢を見た」に出演する女優・吉岡里帆が登場。もとから絵が好きだという吉岡は、番組でパリやアルルなど各地を訪問し、ゴッホの足跡をたどった経験を踏まえ、「美しさや造形だけでなく、ゴッホの人間性に惹かれています。ゴッホは心のあり方を教えてくれる存在」と、ゴッホに対する想いを語った。
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