上質なインテリア空間で光り輝くステンレス作品を楽しむ。佐々倉文の作品展がアルフレックス東京で開催中

焼成・成形・研磨する工程を経て、光り輝くステンレス作品を制作し続ける彫刻家・佐々倉文。その作品展「Dos Personas」が、3月7日までアルフレックス東京で開催されている。

展示風景より、最新作《Dos Personas》。ふたり(波)が手を取り合い踊るイメージを質感の異なるステンレスで表現した作品
前へ
次へ

 イタリアでモダンファニチャーの思想と心地よい暮らしの在り方を学んだ創業者が、帰国後1969年に国内での展開を始めた家具ブランド「アルフレックス」。東京・恵比寿にある「アルフレックス東京」では、彫刻家・佐々倉文の作品展「Dos Personas」を3月7日まで開催している。

 佐々倉文は1974年高知県生まれ。98年に武蔵野美術大学 短期学部 工芸工業デザイン学科 金属専攻を卒業した後、FRP(繊維強化プラスチック)造形や、モルタル造形、CNC( コンピュータ数値制御)などを扱う会社で商業美術に従事していた。

 2008年頃には拠点を茨城県笠間市へ移住し、作家活動を開始。2010年に初個展「月を食べる道具」(茨城県笠間市、かしゃま文化会館ほか)を開催し、同年はほぼ日刊イトイ新聞が主催する「ほぼ日作品大賞」の金賞を受賞。これまでは茨城県や栃木県、千葉県、東京など各地で展覧会を開催してきた。

【LIFE with ART project】佐々倉文 作品展
展示風景より、《Dos Personas M》。重厚でありながらも空間に浮遊するような軽やかさも併せ持つ佐々倉の彫刻

 FRPやモルタル、金属などの素材を扱い、作品を制作しているなかで、金属でありながら人間の手で有機的なかたちに、そして宝石のように輝かせることができるステンレスに惹きつけられたという佐々倉。そのステンレス作品は鍛金に始まり、部分的にステンレスを焼成し、成形と溶接の繰り返しを重ねることで、作品として仕上げられる。最終的に磨き上げたステンレス作品は、周りの景色を映し出し、変貌を遂げる。

 本展では、こうした長い工程を経て光り輝く作品を展示。海から多くのインスピレーションを得て制作を続ける佐々倉にとって、ステンレスの光り輝く表情も海に通ずるものがあるという。本展のテーマ「Dos Personas(2人)」も、海や波を想い、ふたりが手を取り合って踊っている様子をイメージしてできあがった。1300度という高温でステンレスを焼成することで生まれる独特の焼肌を持つ作品の表情は、圧倒的な存在感と心に迫る美しさを放つ。

展示風景より、《tango》。大理石のテーブルとのコントラストが美しい置き型の作品
展示風景より、《Dos Personas S1》

 アルフレックス・ジャパンは、額縁・額装店としての顔も持つノイエ キュレーション&クリエイション(noie.cc)とともに、2017年よりアートの展示販売イベント「LIFE with ART project」を開催。アートを飾る楽しみを、もっと身近に、たくさんの人に味わってもらいたいという共通する思いを込めて、ジャンルも表現も様々なイベントを行ってきた。

 「LIFE with ART project」の一環として開催される今回の展覧会。佐々倉の彫刻作品とアルフレックスの上質なインテリア空間との共演を楽しんでほしい。

展示風景より、《likeminded》。周りの風景を映し出し、季節や時間によって多彩な表情を見せる
展示風景より、絶妙なバランスで自立する彫刻《Jonathan》