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池田学

Manabu Ikeda

 池田学は1973年佐賀県生まれ。98年東京藝術大学美術学部デザイン学科卒業後、2000年同大学院修士課程修了。日本、カナダ、アメリカなどを拠点に、丸ペンとカラーインクによって様々なサイズの綿密画を超絶技巧的に描き出してきた。

 池田が初めて日本をテーマに描いた《興亡史》(2006)では、趣味のロッククライミングから着想を得たという多彩な形状の城や壁の傾斜、桜、そして人々の姿などが縦横無尽に積み重なり、1枚の絵に過去から現在までの複数のタイムラインが共存。その中には、制作期間中に生じた作家の身の回りの出来事も描かれている。《山と雲》(2010)や《Bait》(2010)では、出身地・佐賀で幼少期に体験した自然との邂逅を反映するなど、過去、歴史、日常、異国での旅などが作品のモチーフとなってきた。

 アメリカ・ウィスコンシン州マディソンで約3年間にわたり滞在制作を行った縦3×横4メートルの大作《誕生》(2013-16)では、人々が自然災害とどのように共存していくべきか、そして、人々はどのようにその被害から立ち直っていくのかをテーマに、1本の大木を中心に多様なストーリーが折り重なる絵画を描いた。主な個展に「池田学展 The Pen ―凝縮の宇宙―」(佐賀県立美術館など、2017)。