アンドリュー・サルガド「The Lotus Eaters」

　MAKI Galleryでは、ロンドンを拠点に活動する作家、アンドリュー・サルガドのアジア初個展「The Lotus Eaters」を表参道ギャラリーにて開催する。

　サルガドは1982年カナダ生まれ。2005年にバンクーバーのブリティッシュコロンビア大学で美術学士号を取得後、09年にロンドンのチェルシー・カレッジ・オブ・アーツで美術学修士号を取得し、現在に至る。

　サルガドの色鮮やかなペインティングは、いきいきとしたポーズをとる裸体を中心に、象徴的なかたちやオブジェクトを配した幻想的な舞台を描いている。作家は文学や美術史を含む、幅広い分野からインスピレーションを受けていると言い、油彩、パステル、スプレー、コラージュなど様々な技法を駆使しながら、より抽象的で複雑な構図を追求し続けている。

　本展のタイトル「The Lotus Eaters」は、ホメロスのオデュッセイアの一部である、小さな離島に住まい蓮の実を食べ続ける人々のストーリーに由来したもの。サルガドが長年抱いてきたギリシャ神話への強い関心に端を発した、作品群が展示される。

　サルガドが用いる多くの作品のモチーフは神話、文学、音楽、そして彼の個人的な物語だけに由来するものではない。過去から現在に渡る具象絵画の伝統を厚く尊重し、そして作家自身の深い内省とユーモアのセンスが掛け合わされ、サルガドの作品は通常では見過ごされがちな感情や記憶を呼び起こすことを可能にしている。