EXHIBITIONS
杉本博司 火遊び Playing with Fire
ギャラリー小柳で杉本博司の個展「杉本博司 火遊び Playing with Fire」が開催される。
3年におよぶコロナ禍の後にニューヨークのスタジオに戻った杉本が使用期限を迎えていた大量の印画紙を見つけたことから、本シリーズの制作が始まった。本来なら劣化した印画紙は使用できないが゙、古美術品が劣化の果てに美しくなっていくことに習い、杉本は劣化した印画紙を用いて作品を制作することにした。
本展は、杉本が暗室の中で定着液に浸した筆を駆 使して印画紙に書を揮った最新シリーズ「Brush Impression」から《火》を中心とした新作を初公開する。杉本は火について「誕生の秘蹟でもあり、燃え尽く す終焉の響きでもある」として幼少期からさまざまな関わりを持っていた。「In Praise of Shadows 陰翳礼賛」シ リーズでは、蝋燭に灯した火がたどった時間の軌跡を一枚の写真に収めた。
一定時間印画紙を光に晒すことで文字に淡い桃色や赤色を写し、さながら大火事にでも見舞われたかのような色とりどりの《火》が展示空間を覆いつくす。その傍には「炎」や「灰」が密かに紛れ込み、時に燃え上がり時に灰となって静まる様々な《火》の姿を物語っている。
杉本はこれまで、すでに「ある」ものに自身の解釈を加えて新しい表現へと発展させる試みを続けてきた。これを伝統的な和歌の手法になぞらえ、「本歌取り」と表現している。今回の作品は、臨書を始ま りとして「本歌取り」の解釈をさらに広げ、文字の起源について考察し、自然の形象である「炎」そのものを転写している。杉本は試行錯誤の過程で、人類最古の文字の一つとされる「楔形文字」、古代エジプト で使用された象形文字が記された「死者の書」、大本教祖出口なおが神の言葉を書きつけた「お筆先」を 参照しながら、表音文字の「あいうえお」に表意文字の漢字を当てはめて歌にした一連の作品を制作している。
3年におよぶコロナ禍の後にニューヨークのスタジオに戻った杉本が使用期限を迎えていた大量の印画紙を見つけたことから、本シリーズの制作が始まった。本来なら劣化した印画紙は使用できないが゙、古美術品が劣化の果てに美しくなっていくことに習い、杉本は劣化した印画紙を用いて作品を制作することにした。
本展は、杉本が暗室の中で定着液に浸した筆を駆 使して印画紙に書を揮った最新シリーズ「Brush Impression」から《火》を中心とした新作を初公開する。杉本は火について「誕生の秘蹟でもあり、燃え尽く す終焉の響きでもある」として幼少期からさまざまな関わりを持っていた。「In Praise of Shadows 陰翳礼賛」シ リーズでは、蝋燭に灯した火がたどった時間の軌跡を一枚の写真に収めた。
一定時間印画紙を光に晒すことで文字に淡い桃色や赤色を写し、さながら大火事にでも見舞われたかのような色とりどりの《火》が展示空間を覆いつくす。その傍には「炎」や「灰」が密かに紛れ込み、時に燃え上がり時に灰となって静まる様々な《火》の姿を物語っている。
杉本はこれまで、すでに「ある」ものに自身の解釈を加えて新しい表現へと発展させる試みを続けてきた。これを伝統的な和歌の手法になぞらえ、「本歌取り」と表現している。今回の作品は、臨書を始ま りとして「本歌取り」の解釈をさらに広げ、文字の起源について考察し、自然の形象である「炎」そのものを転写している。杉本は試行錯誤の過程で、人類最古の文字の一つとされる「楔形文字」、古代エジプト で使用された象形文字が記された「死者の書」、大本教祖出口なおが神の言葉を書きつけた「お筆先」を 参照しながら、表音文字の「あいうえお」に表意文字の漢字を当てはめて歌にした一連の作品を制作している。