EXHIBITIONS
岡本羽衣「In Denial」
Gallery10[TOH] で、岡本羽衣による個展「In Denial」が開催されている。
岡本は1990年生まれ、東京藝術大学大学院油画博士後期課程を修了。人が過去を振り返る時間の概念と、歴史認識をもとに、「忘却への抵抗」としてのパフォーマンス、絵画、インスタレーションを制作してきた。本展に寄せて、岡本は次のように語っている。
「過去を忘れたいという感情は、忘却への欲求である。意図的に「何か」を忘れようとする際、私たちの意識は、もうすでにその「何か」に取り憑かれている。
私は何を見て、あるいは見ようとしないのか。絵の具を塗りたくって層を重ねていくことで、過去化されたイメージを否定し続けながら、その奥にある存在と対峙しようとする。
本作品の『In Denial』シリーズでは、映像編集で使用される『キーイング』という技術を用いて、色や明暗の成分から画像・映像の一部を抜き出し、画像を合成するための緑の蛍光=『クロマキー合成』色を扱っている。
このクロマキー合成には、既存のイメージを否定し、異なるイメージに挿し替えることで、新たな虚構性を生み出す性質がある。過去のイメージを否定することは、そこで流れていた時間への否定でもあり、いまを生きる私たちの存在自体も危うくする。
しかし、私はあえてこの方法で、これまで否定されてきた過去と向き合うために、『身体ー時間』をつなぎあわすメディウムと歴史の図像を合成し、図像を凝視しようとする意識と、それを忘却しようとする欲望のなかで揺れ動く人間の心理に触れたいと考えた。イメージが否定され、掻き消されるのではなく、否定のなかにみえるイメージと対峙したいと思ったのである。忘却するための、排除、矮小化、抑圧、隠蔽といった、いわば、否定に対する否定の実践である」。(展覧会ウェブサイトより)
岡本は1990年生まれ、東京藝術大学大学院油画博士後期課程を修了。人が過去を振り返る時間の概念と、歴史認識をもとに、「忘却への抵抗」としてのパフォーマンス、絵画、インスタレーションを制作してきた。本展に寄せて、岡本は次のように語っている。
「過去を忘れたいという感情は、忘却への欲求である。意図的に「何か」を忘れようとする際、私たちの意識は、もうすでにその「何か」に取り憑かれている。
私は何を見て、あるいは見ようとしないのか。絵の具を塗りたくって層を重ねていくことで、過去化されたイメージを否定し続けながら、その奥にある存在と対峙しようとする。
本作品の『In Denial』シリーズでは、映像編集で使用される『キーイング』という技術を用いて、色や明暗の成分から画像・映像の一部を抜き出し、画像を合成するための緑の蛍光=『クロマキー合成』色を扱っている。
このクロマキー合成には、既存のイメージを否定し、異なるイメージに挿し替えることで、新たな虚構性を生み出す性質がある。過去のイメージを否定することは、そこで流れていた時間への否定でもあり、いまを生きる私たちの存在自体も危うくする。
しかし、私はあえてこの方法で、これまで否定されてきた過去と向き合うために、『身体ー時間』をつなぎあわすメディウムと歴史の図像を合成し、図像を凝視しようとする意識と、それを忘却しようとする欲望のなかで揺れ動く人間の心理に触れたいと考えた。イメージが否定され、掻き消されるのではなく、否定のなかにみえるイメージと対峙したいと思ったのである。忘却するための、排除、矮小化、抑圧、隠蔽といった、いわば、否定に対する否定の実践である」。(展覧会ウェブサイトより)