EXHIBITIONS

西島直紀「時の回廊」

西島直紀 静かな物語 2024 油彩、アクリル、キャンバス 30.0 × 84.8 cm

 ギャルリー東京ユマニテで、西島直紀による個展「時の回廊」が開催されている。

 西島は、1980年代からブドウやアカンサスの葉をモチーフに、紫や濃紺、シルバーグレーなどの色層を重ねあわせた抽象的な作品を発表。2000年代半ばからは一変し、森の風景や建物、室内などを色数を抑えた淡い色調で描き、画面全体にはシーリングワックスのドットが配置され、一枚の薄いカーテンがかかったような作品を発表した。

 近年の作品では、何気ない様子の人物や石など、日常に溶け込むモチーフに加え、パオロ・ウッチェロの古典絵画やジョルジョ・デ・キリコの作品から引用されたモチーフも見られる。また、複数の絵画を縦横に組みあわせて構成された作品も発表。これまで平面のなかで奥行きを生み出していたイメージのレイヤーが縦や横に並列され、視線の移ろいを誘う画面を生み出している。

 本展では、複数の組みあわせによる作品35点を展示。ラスコー洞窟の壁画や古代エジプト美術から引用されたモチーフも加わり、遠い昔と現在という時間のレイヤーを重ねあわせるような空間が現れる。