EXHIBITIONS

圓井義典「写真という寓意」

2025.02.05 - 03.15

©Yoshinori Marui / Courtesy of PGI

 PGIで、圓井義典による個展「写真という寓意」が開催されている。

 本展では、新作となるシリーズ「写真という寓意」から約40点を展示。

 圓井は、東京藝術大学美術学部デザイン科在学中より写真作品の制作を始めた。初期作《地図》(2003)や《海岸線を歩く》(2008)では、知覚できる世界についての新しい発見、つまり知覚世界についてより一層想像力を膨らませるきっかけを、眼前の事物の細部描写に見出してきた。光を主題とした《光をあつめる》(2011)の頃から、写真術と事物との関わりそのものを考えることが、より直接的に知覚できる世界について想像を膨らませるきっかけになると考えるようになる。そうして考えてきたひとつの結果として《点−閃光》(2016)があり、そこから派生して前作《天象(アパリシオン)》(2020)が生まれた。

 本作「写真という寓意」は、世界の汲み尽くせない豊かさをテーマとする寓意作品である。写真が想起する記憶と現実の差異、そこから広がる未知の可能性を見つめる本作では、新型コロナウイルス感染症の流行以降に撮影された、明と暗、光と翳、美と醜、都市と地方、人工物と自然物、生老病死、真面目と遊びといった私たちをとりまくものの持つ複雑で多様な性質を象徴する写真で構成されている。