EXHIBITIONS

小林達也、村田峰紀「体のちかく 声のちかく」

2025.02.07 - 02.23

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 gallery10[TOH]で、小林達也、村田峰紀による展覧会「体のちかく 声のちかく」が開催されている。

 村田は、言語を用いずに社会と接続する手段としてパフォーマンスを活用。強い筆圧で激しいテンポによりボールペンを使い、支持体に穴が開くまで円を描き続けるというものだ。村田は描く行為について「原初的な行為=『掻く』ことを、間接的な表象=『書く』『描く』ことへと展開させ、不自由さのなかで泥臭くもがき続け、対象の欠如=『欠く』ことは直接的な痕跡を残しています」と述べており、パフォーマンスの痕跡を絵画として残している。自身は「パフォーマンスアーティスト」として活動しており、作品の背後にある身体的な行為が重要な役割を果たしている。

 いっぽう、小林は、下書きや完成イメージを持たずに、支持体に向きあいながら絵具を重ねる。絵を描くなかで生まれた可能性を拾い上げ、それを育てるような様子を楽しみながら描いているという。色彩の力や形の配置によって視覚的なストーリーを生み出し、観者に「星を観測するような」身体感覚に迫る非言語的な体験を提供する。

 本展では、絵画を通して観者の身体的・感覚的な関与を促し、また、両作家が描く「線」と「面」という対照的な要素で構成された抽象絵画は意図的にサイズを揃え、それにより両者の知覚に対する違いや一致を感じ取ることができる。