クロエ・パレ「宇宙の手触り」

　The 5th Floorで、クロエ・パレによる個展「宇宙の手触り」が開催されている。

　現代社会に生きる私たちは、膨大な情報をかかえるソーシャルメディア、深刻化する気候変動、過剰な消費主義の渦に取り込まれている。この様々な「過剰性」は、ある主の飽和状態を生み出し、私たちが「この世界に生きている」という確かな主体性を希薄なものにさせる。本展では、こうした状況を打破するひとつの方法として、私たちの体験を新たなかたちで提示しようと試みる、現代アートの実践があるとしている。多様な植物や水の形、総体としての宇宙。自然が奏でる音に寄り添うアートは、時に、世界を形づくるミクロとマクロな仕組みを、より身近に感じさせてくれるかもしれない。

　本展タイトルに含まれる「コスモハプティクス」とは、世界の絶え間ない変化との密接なつながりを示し、私たちの私的な物語と惑星の物質的な生成の関わりについて言及する言葉だ。作家のクロエ・パレはこれまで、こうした宇宙の生態系をとらえようとするテーマに取り組んできた。本展は、パレが天体観測によって触発された好奇心や関心、そして新たな知の生成の場として「触感」について取り上げる。また、新唯物論の観点から「身体を通した経験」について探究する。