EXHIBITIONS

飄々表具 ―杉本博司の表具表現世界―

2020.04.04 - 09.06

杉本博司 華厳滝図 1997(2005軸装) 小田原文化財団蔵 ©︎ Hiroshi Sugimoto Courtesy of Odawara Art Foundation

太田南畝(蜀山人) 素麺のゆでかげん 江戸時代後期 個人蔵

 時間と歴史を制作テーマに、「ジオラマ」「劇場」「海景」などの写真シリーズで世界的に知られる現代美術作家・杉本博司。その活動は、古美術蒐集、建築、庭園、舞台演出、インスタレーションなど多岐にわたる。

 これまでに細見美術館では、杉本が企画構成し、蒐集品で床飾りのしつらえを行った「味占郷-趣味と芸術ー」展(2016)、 自身がリスペクトする謎のコレクター・夢石庵の美意識を再現した「末法」展(2017)の、2回にわたって杉本の視点で日本美術を紹介してきた。

 3回目となる展覧会のテーマは「表具」。表具は、布や古裂(こぎれ)、紙などを用いて作品を掛軸などに仕立てることで、美術品は表具を施すことで美術品は守られ、引き立てられてきた。杉本は、自身の作品や古今東西の蒐集品を、鑑賞の対象として愛でられている古裂を用いて独自のイメージやセンスで新しい姿に仕立てており、それらの作品は「杉本表具」とも呼ばれている。

 本展は、杉本の写真を掛軸・屏風・額といった様々な形式のフレームで飾った作品を展観する第1部「杉本表具」と、細見コレクションの競演の取り合わせによる第2部で構成。数寄者・杉本博司の美意識と、表具の持つ表現の可能性を探る。