EXHIBITIONS

サロン展

渋谷区立松濤美術館所蔵 南 薫造 日々の美しきもの

2021.02.12 - 03.07

南薫造 少女 1922 渋谷区立松濤美術館蔵

南薫造 植木鉢の花 1907〜10 渋谷区立松濤美術館蔵

南薫造 無花果 渋谷区立松濤美術館蔵

南薫造 雪の積もった家 渋谷区立松濤美術館蔵

南薫造 瀬戸の春 1948頃 渋谷区立松濤美術館蔵

 南薫造(1883〜1950)は、近代日本洋画壇に大きな足跡を残した画家。1883(明治16)年に広島県内海町(現・安浦町)に生まれ、東京美術学校(現・東京藝術大学)で西洋画を学んだ。卒業後にはイギリスへ留学し、フランスなどヨーロッパを巡って、1910(明治43)年に帰国。同年の第4回文部省美術展覧会(文展)で、渡欧作《坐せる女》(1908[明治41]年、広島県立美術館蔵)が三等を受賞し、画壇へのデビューを飾った。

 その後も文展で受賞を重ね、洋画家として活躍を続けるとともに、日本水彩画会の創立や文展や帝展の審査員、さらに帝国芸術院会員および帝室技芸員も務めた。また、1932(昭和7)年から11年間、東京美術学校で教鞭を執り、後進の指導にもあたった。

 本展は、南の遺族から寄贈された同館所蔵の作品約230点から、人物画や静物画を中心に紹介する。

 日々の風景や生活、そこに暮らす人々を描いた南の作品は詩情にあふれ、あたたかく、画家の柔和な人柄がにじみ出ているよう。これまで過ごしていた日常が当たり前でなくなったいま、何気ない生活の美しさを描いた南の作品は、見ている私たちの生活をいっそう愛おしく感じさせてくれるかもしれない。