「日本の印象派」と呼ばれた画家。南薫造の回顧展が東京ステーションギャラリーで開催へ
明治末から昭和にかけて官展の中心作家として活躍した洋画家・南薫造の回顧展が、丸の内の東京ステーションギャラリーで開催される。会期は2月20日~4月11日。
2012年の再開館以来、一貫して近代洋画の展覧会の開催を続けてきた東京ステーションギャラリー。その同館で、明治末から昭和にかけて官展の中心作家として活躍した洋画家・南薫造(1883~1950)の回顧展が開催される。会期は2021年2月20日~4月11日。
南は、若き日にイギリスに留学し清新な水彩画に親しんだ。ターナーをはじめ優れた水彩画家を数多く輩出してきた同国で磨かれた南の水彩画は、繊細な光の状態や、微妙な色調の変化が巧みにとらえられている。
帰国後に南は印象派の画家として評価されるが、いっぽう創作版画運動の先駆けとなるような木版画を制作するなど油絵以外の分野でも新しい時代の美術を模索した。いずれも魅力は、風景や人物の端正な描写にある。卓越した油絵具の扱いと、透明水彩画における繊細な色彩感覚、木版画に端的に見て取れる画面構成などの高い実力で、自然から得た感興をひとつの画面にまとめ上げている。
本展は、文展・帝展・日展の出品作など、現存する南の代表作を網羅するとともに、イギリス留学時代に描かれた水彩画や、朋友の富本憲吉と切磋琢磨した木版画など、南薫造の全貌を伝える回顧展となる。