EXHIBITIONS

丸木 俊 絵本原画展

2021.04.24 - 06.13

丸木俊 ヘンゼルとグレーテル(『グリムどうわ』より、大塚勇三訳、学習研究社、1970) 國學院大學栃木学園参考館蔵

 小山市立車屋美術館では展覧会「丸木 俊 絵本原画展」を開催。夫・丸木位里(1912〜2000)との共同制作《原爆の図》をはじめとする画業のいっぽうで、幅広い主題の絵本や挿絵、装幀を手がけた丸木俊(1912〜2000)の絵仕事を振り返る。

 丸木俊(本名:赤松俊子)は北海道秩父別出身。女子美術専門学校(現・女子美術大学)で油絵を学んで、二科展などに入選し活躍。モスクワやミクロネシアに滞在した経験を持つ。1941年に水墨画家の丸木位里と結婚し、戦後は《原爆の図》をはじめ、《南京大虐殺の図》《アウシュビッツの図》《水俣の図》《沖縄戦の図》などを夫婦で共同制作した。また絵本作家として、『ひろしまのピカ』『つつじのむすめ』などを刊行。その作品はいまも多くの人に読み継がれている。

 生涯で、150冊を超える絵本や挿絵、装幀の仕事を残した俊。『ヤシノミノタビ』などの異国の風物を伝える絵本制作をはじまりに、太平洋戦争後はヨーロッパやロシアの童話や物語の挿絵にいち早く取り組み、その後は日本の民話や伝説の挿絵、創作絵本、そして原爆や水俣病、沖縄戦の記録絵本と、幅広いジャンルを手がけた。繊細な筆づかい、鮮やかな色彩で描かれる人間愛にあふれた物語世界は、1971年に「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」(スロバキア)で金のりんご賞を受賞するなど、国内外で高い評価を受けた。

 本展では、國學院大學栃木学園参考館が管理する、貴重な絵本原画のなかから選りすぐった81点を展示。俊が描いたイマジネーションあふれる物語世界を楽しみ、原画ならではの画家の息吹きを感じるまたとない機会となる。