EXHIBITIONS

キューガーデン

英国王室が愛した花々

シャーロット王妃とボタニカルアート

2021.09.18 - 11.28

ピーター・ヘンダーソン ロードデンドロン・ポンティクム(ツツジ科) ロバート・ジョン・ソーントン編『フローラの神殿』より 1802 銅版、紙 個人蔵 Photo Michael Whiteway

ヨハン・ゾファニー シャーロット王妃の肖像 1772 メゾチント、紙 個人蔵 Photo Brain Trust Inc.

シデナム・ティースト・エドワーズ チューリッパ・シルベストリスの栽培品種(ユリ科) 1809 黒鉛、水彩、紙 キュー王立植物園蔵 ©︎ The Board of Trustees of the Royal Botanic Gardens, Kew

シデナム・ティースト・エドワーズ ボタンの栽培品種(ボタン科) 1809 銅版、手彩色、紙 個人蔵 Photo Brain Trust Inc.

ウェッジウッド ポートランドの壺 19世紀(1790頃完成) ジャスパーウェア(炻器) 個人蔵 Photo Michael Whiteway

ウェッジウッド 蓋付き深皿(クイーンズウェア) 1765-70 クリームウェア(陶器)、エナメル彩 個人蔵 Photo Michael Whiteway

 東京都庭園美術館は、「キューガーデン 英国王室が愛した花々 シャーロット王妃とボタニカルアート」展を開催。科学的視点と美しさを併せ持つ、ボタニカルアートの華麗なる世界を展覧する。

 英国王立植物園「キューガーデン」はユネスコ世界遺産に登録され、22万点を超えるボタニカルアートを所蔵する世界最大級の植物園。1759年にジョージ3世の母であるオーガスタ皇太子妃がロンドン南西部に造った小さな庭園に始まり、その後、ジョージ3世とシャーロット王妃の時代に庭園の規模を飛躍的に広げ、当時ヨーロッパを席巻していた啓蒙思想などを背景として、研究機関の整備も進められた。

 現在のキューガーデンは世界的な観光地であるいっぽう、研究機関として植物と菌類の科学的分野で世界をリード。2003年には、多様な植物コレクションのみならず、造園技術の歴史と発展における多大な貢献が評価されて、ユネスコ世界遺産の指定を受けた。

 本展では、キューガーデン所蔵の貴重なボタニカルアートコレクションから、鋭い観察眼により細かく描き込まれた18~19世紀のボタニカルアート約100点を一挙に展示。手彩色が施された豪華な植物誌『フローラの神殿』『カーティス・ボタニカル・マガジン』など貴重な図版に加え、シャーロット王妃が愛し、王室御用達となったウェッジウッド社など陶磁器の数々も並ぶ。

 精緻な描写による科学的視点と、美しさが共存するボタニカルアート。本展は、時代が大きく変革していくなかで、英国において自然科学や植物画がいかに発展し、どのような歴史的背景を歩んできたのか、その変遷をたどる。