EXHIBITIONS

生誕110年 香月泰男展

2021.11.27 - 2022.01.23

香月泰男 青の太陽 1969 山口県立美術館蔵[シベリア・シリーズ]

香月泰男 北へ西へ 1959 山口県立美術館蔵[シベリア・シリーズ]

香月泰男 ハムとトマト 1953 香月泰男美術館蔵

 太平洋戦争従軍と抑留の体験を描いた「シベリア・シリーズ」で知られる香月泰男(かづき・やすお、1911〜74)。新潟県初となる大回顧展「生誕110年 香月泰男展 」が開催される。

 山口県に生まれ、東京美術学校西洋画科で学んだ香月は、1940年頃、後ろ姿の少年が登場する抒情的な画風で注目された。しかし43年に招集され、満州での従軍とシベリア抑留によって画業の中断を余儀なくされた。47年に復員。50年代半ばまでは、鮮やかな色遣いで台所の食材や身近な動植物を数多く描いた。

 57年頃、香月は黄褐色と艶消しの黒を基調とする重厚な表現を確立したのち戦争の記憶を次々に絵画化し、「シベリア・シリーズ」へと発展させていった。香月の作品には、極限状態の苦しみや、鎮魂と望郷の想い、そして、戦地でも失うことのなかった画家としてのまなざしが刻まれ、いまなお見る者に深い衝撃と感動を呼び起こす。

 本展は「シベリア・シリーズ」全57点をはじめ、各年代の代表作、関連素描など約150点を制作年順に展示。「シリーズ」成立の軌跡を検証するとともに、香月芸術の多彩な魅力に迫る。