機能性と美の共存。
北欧の世界的デザイナー、
インゲヤード・ローマンの魅力に迫る
日本初の大規模展覧会が開催
スウェーデンのガラス・陶器デザイナー、インゲヤード・ローマンの初期から最新作まで約180点を紹介する日本で初めての展覧会が東京国立近代美術館工芸館で開催される。ローマンの日本での仕事にも焦点を当て、日本展だけの内容も予定。会期は9月14日〜12月9日。
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インゲヤード・ローマンは1943年ストックホルム生まれ。北欧を代表する世界的デザイナーであり、陶芸家としても活動している。機能性を重視した日常づかいのガラス食器や陶器は、色もかたちもきわめてシンプルだが、そのなかに凛とした美しさと、ひとりの使い手としての真摯な視点が感じられる。
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Photo by Anna Danielsson/Nationalmuseum Stockholm
日本とスウェーデンの外交関係樹立150周年を記念して開催する本展は、ローマン自身が選んだ代表的な作品を中心に、その幅広い活動を日本で初めて本格的に紹介するもの。2016年にスウェーデン国立美術館で開催された展覧会をベースに、北欧の伝統あるガラスメーカー「スクルフ」や「オレフォス」のデザインのほか、「イケア」とのコラボレーションによる作品、スウェーデンの建築家との協働プロジェクトまで、初期から最新作までを一挙に通覧できる。
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また、木村硝子店のためのシリーズ(2017)、有田焼再興のための「2016/」プロジェクトへの参加など、ローマンが特別な関心を持つ日本でのプロジェクトワークを紹介。ローマン自身による工芸館の展示和室での特別展示など、日本展だけの新たな内容も用意されている。
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Photo by Anna Danielsson/Nationalmuseum Stockholm
展示デザインを手掛けるのは、北欧建築家グループ「クラーソンコイヴィストルーネ(Claesson Koivisto Rune)」。ストックホルムのグッチやルイ・ヴィトン、京都のスフェラ・ビルといった建築をはじめとし、ベルリンのスウェーデン大使館のインテリアデザインなども手掛ける、世界的に注目されているグループだ。
自らを「form giver」(かたちを与える者)と呼ぶローマンの物づくりの魅力に迫るとともに、日常とデザインを切り結ぶ豊かな思考に触れたい。