世界を旅する写真家・石塚元太良が撮る「パイプライン」のある風景
写真家・上田義彦がキュレーターを務めるGallery 916(東京・港区)で、石塚元太良による個展「Demarcation」が開催されている。会期は3月26日まで。
世界を旅しながら、「パイプライン」「氷河」「ゴールドラッシュ」など独自のテーマに基づいてランドスケープを撮影する写真家、石塚元太良。時事的な着眼点を備えつつも、オリジナリティあるイメージをつくり出し「ドキュメンタリーとアートの狭間」ともいえる活動を展開している。
本展では、全長1280キロメートルにも及ぶアラスカの石油輸送パイプラインを皮切りに、アイスランド、オーストラリア、オーストリアで撮影された「パイプラインプロジェクト」シリーズなど、初期作品から新作まで約30点の大判プリント作品を発表。「分界」「境界」を意味する展覧会タイトル「Demarcation」には、大自然の中に伸びるパイプラインが白い紙にひかれた一本の線のように見えたことから「何もないところに何かを置くことで生まれるエリアや、差異」という意味を込めたという。
また、併設のスペース「Gallery 916 small」では、家の中にあるモノをモチーフに、ネガとポジを同一プリント上に表出させた最新作「N/P」シリーズが展示されており、世界の風景と身近なモノという、対照的なモチーフを撮影した作品群を見ることができる。