新しい中国美術を担うアーティスト、チウ・ジージエ「書くことに生きる」が金沢21世紀美術館で9月から開催
新しい時代の中国美術を担う世代として、民主化が急速に進んだ中国においてシニカルでポリティカルな視点を持つアーティスト、チウ・ジージエの特別展が、「東アジア文化都市2018金沢」の一環として開催される。会期は9月8日~2019年3月3日。
「東アジア文化都市」とは、日中韓文化大臣会合での合意に基づき、同三ヶ国において文化芸術による発展を目指す都市を選定し、その都市において現代の芸術文化や伝統文化、また多彩な生活文化に関連する様々な文化芸術イベントなどを実施するという取り組み。2018年は日本からは金沢市、中国からはハルビン市、そして韓国からは釜山広域市が選出されている。
そして金沢21世紀美術館では、同時代の多様な美術表現に出会う場を提供し、様々な価値観や未知の表現を紹介する特別展を展開している。インドネシアの現代アーティスト、アイ・チョー・クリスティンの個展「霊性と寓意」(~8月19日)、1980年代の日本美術に迫った「起店としての80年代」(~10月21日)をはじめ、「東アジア文化都市2018金沢」の取り組みとして「変容する家」(9月15日〜11月4日)など、多彩な展覧会がラインナップ。「チウ・ジージエ 書くことに生きる」は、それに続く展覧会だ。なお、チウは「変容する家」にも参加する。
チウ・ジージエは69年中国・福建省生まれ。アーティスト、キュレーター、また文筆家、教育者として活動。アーティストとしては書をはじめ、写真やビデオ、絵画、インスタレーション、パフォーマンスが融合する作品など、境界にとらわれない作品を展開してきた。近年では、2017年のヴェネチア・ビエンナーレ中国館のディレクターも務めている。
交易や移住による交流が豊かな福建省の文化にも大きな影響を受けた、ダイナミックで自由な視点を持つ作品群を手がけるチウ。本展では、幼少から学んだ「書」を表現の中心に置き、書くことを通じて普遍的で根源的な人間の存在について問い直してきた側面に焦点を当てた作品を発表する。
世界の有り様を俯瞰し、人と物事の関係を記述することに自身の存在を重ねるチウ。その創造と魅力に「書」を通じて大胆に迫る展覧会だ。作品たちを通じて、アジアのみずみずしい姿を感じてみてはいかがだろうか。