東京画廊での榎倉康二展をチェック。廃油を用いた初期作品からエスキースまでを公開
「もの派」のひとりとして国際的に活躍した美術家・榎倉康二の個展が、銀座の東京画廊+BTAPで開催される。本展は、廃油を用いた貴重な初期作品からエスキースなどの資料までを紹介するもの。会期は11月17日〜12月29日。
「もの派」を代表するアーティストのひとり、榎倉康二(1942~95)の個展が、東京画廊+BTAPで開催される。榎倉は68年に東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻を修了後、1年間パリで滞在制作を行った。
パリ留学の経験を経て、第7回パリ青年ビエンナーレ(1971)で優秀賞(留学賞)を受賞。その後、旧西ドイツのアーヘン美術館や国立国際美術館で個展を行ったほか、79年、80年と連続してヴェネチア・ビエンナーレに出品するなど、国際的に高い評価を受けた。
「もの派」のひとりとして国際的に活躍した榎倉は、95年に52歳の若さで逝去した後も、東京現代美術館で大規模な回顧展が開催されるなど、いまもなお、数多くの人々の関心を集めている。
廃油やアクリル塗料をつけた木材を綿布に押し当てることで生まれた滲みを利用するなど、独特の技法を特徴とする榎倉作品。榎倉は、その一連の創作によって「物と物」や「物と身体」などの関係から生じる物質性に着目し、絵画の枠組みからの逸脱に挑みつづけた。
代表作とされる「干渉」シリーズでは、液体の物体への浸透現象を追求し、滲みによって時間の経過を視覚化することに成功。加えて、画面に取り付けられた材木は作品から絵画性を奪い、事物性を強く提示している。
そして今回、東京画廊で開催される個展では、初期作品からエスキースなどの資料までを紹介。榎倉の軌跡をたどることができる。