エキソニモが問いかける「不完全なメッセージ」とは? WAITINGROOMの個展「LO」で新作を発表
千房けん輔と赤岩やえにより1996年に結成され、20年にわたり日本のメディア・アートを牽引してきたエキソニモ。その国内では6年ぶりとなる個展「LO」が、東京・文京区のWAITINGROOMで開催される。会期は2月23日〜3月24日。
千房けん輔と赤岩やえによって1996年に結成され、現在はニューヨークを拠点とするアートユニットのエキソニモ。Windows95の発売当初からインターネット上で活動を開始し、その後インスタレーション作品の発表やイベントのオーガナイズなど、その幅を広げてきた。
昨年は「ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて」(水戸芸術館)に参加したほか、「メディアアートの輪廻転生」(山口情報芸術センター[YCAM])の共同キュレーションを務めた。また、10数名のアーティストからなるコミュニティ「IDPW(アイパス)」を組織し、「インターネットヤミ市」などのイベントを国内外で開催している。
今回の個展のテーマは「不完全なメッセージ」。「ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて」で展示された《I randomly love you / hate you》(2018)のほか、過去作品をリミックスし直した作品や新作を発表する。
展覧会タイトルの「LO」は、1969年にインターネットの原型となる「ARPANET」の最初の実験で送信されたメッセージ。「LOGIN」と入力するはずが、「LO」を送信したあとにシステムがクラッシュし、結果的にこの2文字がインターネットの世界を切りひらいた言葉となった。エキソニモはこうした「不完全なメッセージ」として作品を立ち上げ、それに続くものを鑑賞者に問いかけている。
恵比寿からの移転後、郵便局跡地に移転したWAITINGROOMで行われる本展。かつて通信の中継地点として機能した場所にエキソニモがつくり出す、情報と感情のあいだで様々なメッセージが行き来する空間を体験してみたい。