2019.6.9

大竹伸朗による関東では13年ぶりの美術館個展。「ビル景」が展示構成を変えて水戸芸術館現代美術ギャラリーに巡回

大竹伸朗の個展「ビル景」が、熊本市現代美術館から水戸芸術館現代美術ギャラリーに巡回する。本展は大竹が1970年代から現在まで描き続ける同名シリーズに注目し、その全貌を明らかにするもの。会期は7月13日〜10月6日。

大竹伸朗 放棄地帯 2019 © Shinro Ohtake, Courtesy of Take Ninagawa, Tokyo, Photo by Kei Okano
前へ
次へ

 大竹伸朗の個展「ビル景」が、熊本市現代美術館から水戸芸術館現代美術ギャラリーに巡回。出展作品や展示構成を大きく変えて開催される。

 大竹は1955年東京生まれ、80年代初頭から作品の発表を始める。2006年に初の回顧展「大竹伸朗 全景 1955-2006」(東京都現代美術館)を開催以来、第8回光州ビエンナーレ(2010)、第55回ヴェネチア・ビエンナーレ(2013)、ヨコハマトリエンナーレ2014などの国際企画展に参加。

大竹伸朗 白壁のビル2 2017 © Shinro Ohtake, Courtesy of Take Ninagawa, Tokyo, Photo by Kei Okano

 これまで絵画を中心に印刷や音、写真、映像など多彩な表現を展開し、現代美術だけでなくデザインなど幅広いジャンルに影響を与えてきた大竹。《直島銭湯 I♥湯」》(直島、香川)、《女根/めこん》(女木島、香川)などのパブリック・ワークのほか、エッセイや絵本といった仕事でも知られている。

 本展は、大竹が1970年代から現在までの約40年にわたって描き続けてきたシリーズ「ビル景」に注目するもの。今回は同シリーズから約500点に加え、大型の立体作品など新作を数点加えて紹介。可能な限り作品を展示することで、その全貌を明らかにすることを目指す。

大竹伸朗 Tokyo V 1984 © Shinro Ohtake, Courtesy of Take Ninagawa, Tokyo, Photo by Kei Okano

 「ビル景」は実在の風景ではなく、香港やロンドン、東京など様々な都市の記憶が混ぜ合わされ、「ビル」というかたちを伴って描き出される仮想の風景のこと。圧倒的な作品量で構成される同シリーズからは、自身で「続けようとすることよりも続いていってしまう事柄の中に探しものはいつも隠れている」とつづる大竹の姿勢を垣間見ることができるだろう。

 なお本展にあわせ、同シリーズの全作品を網羅した画集『大竹伸朗 ビル景 1978–2019』(HeHe)も刊行。こちらもあわせてチェックしたい。