デジタルネイティブ世代の画家が取り組む絵画表現。名もなき実昌と浦川大志が2人展を開催
ともにアニメやゲーム、インターネット上で取得した情報など、デジタルデバイスを介して経験する身体感覚をもとに絵画を手がける、名もなき実昌と浦川大志による2人展「#終わらにゃい?#もう終わんにゃい!」が、東京・恵比寿のNADiff Galleryで開催される。会期は7月14日〜8月12日。
「インターネット画家」として、インターネットやSNS上での作品発表を中心に活動を行う名もなき実昌(なもなき・さねまさ)と、福岡在住のアーティスト・浦川大志による2人展「#終わらにゃい?#もう終わんにゃい!」が、東京・恵比寿のNADiff Galleryで開催される。両作家はともに、アニメやゲーム、インターネット上で取得した情報など、デジタルデバイスを介して経験する身体感覚をもとに絵画を手がける。
名もなき実昌は1994年生まれ。2013年よりTwitterによる作品発表をスタートし、インターネット上の人格や画像と、アニメキャラクターの類似性をテーマにした作品を手がけてきた。おもに画像的に解体されたキャラクターが幽霊のように偏在するイメージなどを、ペインティングやドローイングによって表現するアーティストだ。
これまでに「@Sanemasa5xさんは、2013年4月からtwitterを利用しています」(創治朗―Contemporary Art Gallery―、兵庫、2018)、「最後の名もなき実昌展(平成)」(ワタリウム美術館 オン・サンデーズ地下書店、東京、2019)と2度の個展を開催した名もなき実昌。
そのほか、カオス*ラウンジ新芸術祭2017市街劇「百五〇年の孤独」(福島県泉市内、2017)や「現代美術ヤミ市」(BUCKLE KOBO、東京、2018)、浦川大志・名もなき実昌2人展「終わるまで終わらないよ」(熊本現代美術館、2019)といった話題のグループ展にも参加してきた。
いっぽうの浦川も1994年生まれ。2013年に九州産業大学を卒業後、風景を参照した抽象画の制作をスタート。近年は、ネット上の画像やデジタル的な筆致を用いて、ゲームのフィールドのような空間を特徴とした作品を制作している。
15年には、第24回英展にて「~半径3メートル~優秀賞」、18年のVOCA展では大原美術館賞を受賞。これまでに福岡や札幌で個展を開催してきたほか、東京でもグループ展やアートフェアに参加するなど精力的に活動を行っている。
ネットやSNSなどのバーチャルな空間をひとつの「自然」としてとらえる2人は、「ネット的画像的平面表現」の探求という共通したテーマを掲げ、2人展などの協働した活動を継続的に続けてきた。デジタルネイティブ世代の両作家が取り組む絵画表現を、本展で目撃したい。