「目の前のものが写真になる瞬間」を提示する。上田良と澤田華による2人展が愛知・Lights Galleryで開催
写真を中心に作品を手がける2人のアーティスト、上田良と澤田華による展覧会「テキサス・ヒットがやってくる」が、愛知県名古屋市のLights Galleryで開催される。会期は9⽉5⽇~22⽇。
写真を主なメディアとして活動するアーティスト、上田良(うえだ・やや)と澤田華による2人展「テキサス・ヒットがやってくる」が愛知県名古屋市のLights Galleryで開催される。会期は9⽉5⽇~22⽇。
上田は1989年生まれ。これまで自作のオブジェを撮影した写真作品やドローイング、版画の制作を行ういっぽう、アーティスト・ユニット「THE COPY TRAVELLERS」として複製の可能性にフォーカスした活動を展開してきた。近年の主な展覧会に「A Magpie’s Nest」(galerie16、2018)、「めくるめくらむ」(awai art center、2017)などがある。
澤田は1990年生まれ。写真、映像、立体、インターネットなど様々なメディアを用いて、写真の特性に基づいた制作を行う。近年の主な展覧会に「凍りつく窓:生活と芸術」(CAGE GALLERY、2019)、「見えないボールの跳ねる音」(Gallery PARC、2018)など。また、現在開催中の「あいちトリエンナーレ2019」にも参加している。
本展で上田は、拾い集めた廃材や身の回りの素材を組み合わせてつくり出した一時的な状況を撮影し、写真作品として展示。オブジェの形態や色彩、物体同士が関係し合う瞬間に焦点を当てる。いっぽう澤田は、メインとなる被写体をフレームの中心に配置する「日の丸構図」で撮影されたスナップ写真を発表。光や影、些細なオブジェクトがシャッターを切るトリガーとなり、意図せず周囲の情報を呼び込む、または写真の意味をぼやけさせることを試みる。
展覧会タイトルの「テキサス・ヒット」とは、野球で内野と外野の間に落下する安打のことで、ふたりに共通する「目の前のものが写真になる瞬間は何もすることはできないし、思い通りの像になるとは限らない」という姿勢を表す言葉。本展では制作プロセスのなかで生まれた偶然性や、コントロールしきれない「外部」を含んだ作品群に注目したい。