「新・今日の作家展2020 再生の空間」が横浜市民ギャラリーで開催。地主麻衣子と山口啓介を紹介
現代美術の動向を紹介する年次展覧会「新・今日の作家展」。今年は地主麻衣子と山口啓介の2名が紹介される。
横浜市民ギャラリーが開館した1964年から、40年にわたり開催されてきた「今日の作家展」。その理念を継承し、2016年より始動した現代美術の動向を紹介する年次展覧会が「新・今日の作家展」だ。
2020年の「新・今日の作家展」では、「再生の空間」をテーマに身近な場所あるいは世界でおこっている現象に向き合い、未来を志向していく行動と日常への関心を喚起する、地主麻衣子と山口啓介の2名が紹介される。
地主麻衣子は1984年神奈川県生まれ。個人的な物語をテーマとしたドローイングや小説の制作を発展させ、映像、インスタレーション、パフォーマンスなどを総合的に組み合わせた「新しい種類の文学」を制作してきた。
地主は今回の展示で、コロナ禍において、「今できること」をテーマに些細で曖昧な事象に着目した映像を制作する。実際に会って語ったり触れ合ったりすることのできない状況や対象、オンラインによる遠隔でのコミュニケーションなど、ソーシャルディスタンスを保つことが求められる今日。それ以前から、私たちの生活に浸透していた事柄について、改めて考える新作映像インスタレーションをつくりだす。
いっぽうの山口啓介は1962年兵庫県生まれ。歴史上の事柄を多面的にとらえ、版画、絵画、立体といったさまざまな手法で自然と人間が共存するイメージの世界を描き続けてきた。
山口は90年に開催された横浜市民ギャラリー「第26回今日の作家展 トリアス」に参加しており、30年後にあたる今回の展示では、10人の画家による絵画プロジェクト「地球・爆」より、山口の作品および岡本信治郎、伊坂義夫、市川義一の共作を展示。また、2011 年3 月11 日に起きた東日本大震災の3日後から、山口が書き続けている《震災後ノート》の一部も紹介される予定だ。
さらに、今年の「新・今日の作家展」は、ヨコハマトリエンナーレ2020にも呼応。今日性を反映した表現の紹介を通じ、多層的な世界にアクセスしながら思考の回路をつないでいくことを目指している。
また、出品作家のインタビューやギャラリートークなどの動画コンテンツをオンライン配信するほか、出品作家とゲストによる対談を開催し。作家と作品にさまざまな角度から光を当てていくものとなっている。