アピチャッポン・ウィーラセタクンの新作映像作品が札幌の地下歩道で上映へ。作家初のパブリック・アート作品
タイを代表する映画監督アピチャッポン・ウィーラセタクンの新作映像作品が、札幌の地下歩道で4月1日から上映される。同作は、札幌文化芸術交流センターSCARTSが企画する「西2丁目地下歩道映像制作プロジェクト」の一環として制作されたもので、作家初のパブリック・アート作品となる。
長編映画『ブンミおじさんの森』で2010年カンヌ国際映画祭最高賞(パルムドール)を受賞し、映画監督として活動するいっぽう、アーティストとしてインスタレーション作品なども手がけてきたアピチャッポン・ウィーラセタクン。その新作映像作品が、札幌で4月1日から上映される。
アピチャッポンは、札幌文化芸術交流センターSCARTSによる「西2丁目地下歩道映像制作プロジェクト」の2020年度委嘱作家として参加。同プロジェクトは18年度からスタートし、現在はスタジオロッカ《UNDER UNIVERSE》、大木裕之《トシ シ》、野口里佳《虫・木の葉・鳥の声》の3作品を上映している。
舞台となるのは、さっぽろ地下街オーロラタウンと札幌市民交流プラザをつなぐ地下歩道。通路上には4つのプロジェクターを設置し、スクリーンの大きさは高さ約2メートル、幅約12メートルにおよぶ。
アピチャッポンは今回、《憧れの地》と題して、3画面の映像作品を制作。3つの画面では2つずつのシナリオが展開し、あわせて6つの映像が出現する。それぞれの画面はブラインドや瞬き、あるいは舞台の緞帳のように上下し、画面上のシナリオも前後する。
「ロックダウンの数カ月間、私は友人でもある俳優たちを訪ねたいという強い衝動に駆られた」と語るアピチャッポン。バンコクでの抗議活動や身近な風景をとらえた映像を「ビデオレター」として、「植物、光、季節が移ろう香り、大勢の若者が発する活力、命が消えゆく哀愁、新たな春への動き」を共有したいと語っている。
同作を含む計4作品は、4月1日からプログラムを組んでの上映を予定。詳しいタイムスケジュールは、札幌文化芸術交流センターSCARTSのウェブサイトを参照してほしい。