ロシア人作家が訴える反戦。「大地の芸術祭」でエカテリーナ・ムロムツェワの個展開催へ
現在開催中の「越後妻有 大地の芸術祭 2022」の作品として、越後妻有里山現代美術館 MonETを会場に、ロシアの作家エカテリーナ・ムロムツェワの展覧会の追加開催が決定した。
現在、新潟県・十日町を中心に開催中の「越後妻有 大地の芸術祭 2022」。その一部として、ロシアの作家エカテリーナ・ムロムツェワの展覧会の追加開催が決定した。会場は越後妻有里山現代美術館 MonET、会期は7月21日〜8月22日。
エカテリーナ・ムロムツェワは1990年モスクワ生まれ。叙情的、コンセプチュアルな方法で個人的・集団的記憶を探る作品を制作しており、大型な絵画をはじめ、映像、インスタレーション、社会参加型アートなど様々なジャンル の作品を展開している。Forbes Russia主催の次世代を担う30名の1人として イノベーション賞を受賞しており、日本では2021年の北アルプス国際芸術祭に参加。また今年の瀬戸内国際芸術祭(夏会期)では男木島を舞台に、子供たちが参加する「学校の先生」を発表だ。
本展「Women in black/戦争に反対して黒衣を着る女性たち」は、ロシア各地で行われた、黒い服を着て、白い花を手にした女性たちによるウクライナ侵攻に反対する抗議活動に捧げられた「Women in Black」シリーズを発表するもの。
ムロムツェワはこの新作についてこう語っている(以下、リリースより抜粋)。
「これらの作品で使用した最近のロシアの抗議活動の写真では、当局が活動家を特定できないように、頭部が切り取られていることが多いです。ロシアでは状況を議論する際に『戦争』という言葉を使うことが禁止されているため、デモ参加者はこの 言葉をアスタリスクや他のスローガンに隠して、平和を訴えるなどすることが多いです。それでも、デモ参加者が当局の迫害を免れることはできません。私はこれらの作品の中で、こうした代替スローガンを使うこともあります」。
「大規模なデモはすべて暴力的に弾圧され、デモ参加者は刑事責任を問われるため、ロシアでの反戦デモは外からはそれほど見えません。そのような状況下でも、反対運動は新たな装いをもって行われます。たとえその抗議がお通夜のように見えても、どんな圧力があっても不正に対して声を上げることは可能だ、という信念を共有するために、私はこれらの作品を作りました。どんな形であれ、私は戦争に抗議する勇気を持っているすべての人と連帯します」。
なお本展作品は販売され、作家の意向により、販売収益はウクライナ避難民支援のために寄付される予定だという。また東京・代官山のアートフロントギャラリーではこの「Women in Black」シリーズに加え、アメリカ・バージニア州リッチモンドにある南軍司令官ロバート・E・リー将軍の騎馬像を撤去する過程を描いた「Take Lee Down」シリーズの2シリーズから構成される展覧会も開催される。