ヒグチユウコの大規模個展が東京に帰還。愛しくて恐くて切ないサーカスの世界
空想と現実を行き交う発想と独自のタッチで愛される画家・絵本作家のヒグチユウコ。その世界観を堪能できる大規模個展「ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END」が森アーツセンターギャラリーにて開催される。会期は2023年2月3日〜4月10日。
細密なタッチで、愛らしくも怖さを兼ね備える生物や少女、空想と現実を行き交う世界観を描く絵本作家・画家のヒグチユウコ。その大規模個展が全国9会場を経て東京に帰還。幕引きを思わせる副題を冠した「ヒグチユウコ展 CIRCUS FINAL END」は森アーツセンターギャラリーにて、2023年2月3日〜4月10日の会期で開催される。
会場には、2019年から全国を巡回してきた約500点と、これまで紹介しきれなかった作品も合わせた約1000点が集結。その画業を一度で感じられる空間になるという。
展示される内容は、『ふたりのねこ』(2014年、祥伝社)『ギュスターヴくん』(2016年、白泉社)『ほんやのねこ』(2018年、白泉社)といった絵本作品の原画や書籍の装画のほか、GUCCIをはじめとする企業とのクリエイションの数々。
さらに、ヒグチが追求してきた「ホラー」に焦点を当てたコーナーも用意されるという。かたつむり、ハサミ、瞳などのモチーフから描かれた可愛くもどこか不穏な作品からは、ヒグチユウコの真骨頂を感じることができるだろう。
また、タイトルの「CIRCUS」の世界観は、最初に巡回した2019年に刊行された『ヒグチユウコ画集 CIRCUS』(2019年、グラフィック社)の原画や、背景を手掛けた「カカオカー・レーシング」(2017年、グラフィック社、今井昌代著)の立体展示によって提示される。
そのほか、自主制作画集『Fear』掲載作品や近年精力的に発表している映画にまつわる作品も展示され、表現の幅を広げる作家の現在も知ることができる展示になるという。
さらに、9つの巡回会場で描き下ろされたメインビジュアルも集結。豊かな色彩の楽しげな作品から幻想的な魅力を放つ一枚まで勢揃い。そして本会場のための描き下ろしの大作《終幕》(2022年)が展示を彩り、「FINAL END」の名に相応しい充実の展覧会になっている。
ヒグチユウコが描く猫や少女、キノコ、この世ならぬ不思議ないきものたちが繰り広げる、楽しくもどこか切ない「CIRCUS」の世界。その集大成を、ぜひ会場で見届けてほしい。