草間彌生、アニメの背景美術から杉本博司の本歌取りまで。今週末に見たい展覧会ベスト7
今週開幕・閉幕する展覧会から、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。
草間の色彩の多様性を見る。「幻の色」(草間彌生美術館)
草間彌生の作品における大きな魅力のひとつ。それは独特の「色彩」だろう。《南瓜》に代表されるような鮮やかな黄や赤の組み合わせがその典型として思い浮かぶが、じつは草間の色彩表現は画業において大きく変遷を続けてきた。それをたどろうとするのが、草間彌生美術館で開幕した「幻の色」(2024年3月24日まで)だ。会場のレポートはこちら。
本展では、初期から現在に至るまでの代表的なシリーズを一堂に展覧することで、その画業における特徴的な色彩表現を通覧することが可能となっている。
会期:2023年11月9日~2024年3月24日
会場:草間彌生美術館
住所:東京都新宿区弁天町107
開館時間:11:00~17:30 ※日時指定の予約・定員制(各回90分/定員70名)。チケットは美術館ウェブサイトのみで販売。美術館窓口での取り扱いなし
休館日:月火水、年末年始(12月25日〜1月5日)
料金:一般 1100円 / 高校・中学・小学生 600円 / 未就学児無料
アニメの背景に見る建築・都市・時代。「アニメ背景美術に描かれた都市」(谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館)
石川・金沢の谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館で、第7回企画展「アニメ背景美術に描かれた都市」が11月19日まで開催されている。会場のレポートはこちら。
本展は『AKIRA』(1988)、『機動警察パトレイバー the Movie』(1989)、『機動警察パトレイバー2 the Movie』(1993)、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995)、『メトロポリス』(2001)、『鉄コン筋クリート』(2006)の6つのアニメーション映画作品の背景美術を参照しながら、作品を演出するために込められた意図や工夫、そして実際の都市計画や建築との関連を深掘りする展覧会だ。
会期:2023年6月17日〜11月19日
会場: 谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館
住所:石川県金沢市寺町5-1-18
電話番号:076-247-3031
開館時間:9:30 – 17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月、7月18日、9月19日、10月10日、10月31日
料金:一般 800円 / 大学生・65歳以上 600円 / 高校生以下無料
南山城の古刹由来の仏像が一堂に。特別展「京都・南山城の仏像」(東京国立博物館)
東京・上野の東京国立博物館で、京都・浄瑠璃寺の九体阿弥陀修理完成を記念した特別展「京都・南山城の仏像」が11月12日まで開催されている。会場のレポートはこちら。
南山城(みなみやましろ)は京都の最南部。奈良県と隣接し、木津川に育まれた風光明媚な土地だ。京都と奈良のふたつの都の影響を受けてきた南山城には奈良・平安時代からの古刹が多く、仏像の最盛期とされる平安時代の仏像の傑作が多く伝わってきた。本展はこの南山城の仏像の優品が一堂に会する展覧会となっている。
会期:2023年9月16日~11月12日
会場:東京国立博物館
住所:東京都台東区上野公園13-9
電話番号:050-5541-8600
開館時間:9:30~17:00
料金:一般 1500円 / 大学生 800円 / 高校生 500円
白井建築と響き合う本歌取り。「杉本博司 本歌取り 東下り」(渋谷区立松濤美術館)
自身の作家活動の原点とも言える写真技法を和歌の伝統技法である「本歌取り」と比較し、「本歌取り論」を展開する杉本博司。2022年には本歌取りをテーマにした展覧会「杉本博司 本歌取り―日本文化の伝承と飛翔」を姫路市立美術館で初めて開催し、大きな注目を集めた。これを新たに展開させた展覧会「杉本博司 本歌取り 東下り」は、渋谷区立松濤美術館で11月12日まで。レポートはこちら。
「本歌取り」とは和歌の作成技法のひとつで、有名な古歌(本歌)の一部を意識的に自作に取り入れ、そのうえに新たな時代精神やオリジナリティを加味して歌をつくる手法のこと。葛飾北斎の《冨嶽三十六景 凱風快晴》を本歌とした巨大な屏風型の新作《富士山図屏風》などが、白井晟一の個性的な建築のなかで展開される。
会期:2023年9月16日〜11月12日(前期9月16日〜10月15日、後期10月17日〜11月12日)
会場:渋谷区立松濤美術館
住所:東京都渋谷区松濤2-14-14
電話番号:03-3465-9421
開館時間:10:00〜18:00(金〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 1000円 / 大学生 800円 / 高校生・60歳以上 500円 / 小・中学生 100円
海と山の芸術祭。「奥能登国際芸術祭2023」
石川県珠洲市を舞台とする「奥能登国際芸術祭2023」は11月12日まで。芸術祭のレポートはこちら。
3回目の開催となる今年は、14の国と地域から59組が参加。第1回目からの常設を含め、珠洲市内にあわせて60点の作品が、日置、三崎、蛸島、飯田、上戸、宝立、大谷、正院、直、若山と大きく分けて10のエリアに展開されている。
会期:2023年9月23日~11月12日会場:石川県珠洲市全域住所:石川県珠洲市飯田町13-120-1(珠洲市奥能登国際芸術祭推進室内)電話番号:0768-82-7720(8:30~17:00、土日祝は除く)料金:一般 3300円 / 大学生 1650円 / 小中高生 550円 / 未就学児 無料(作品鑑賞パスポート当日券)
トレッキングしながらアートを体感。「MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館」
奈良県南部・東部に位置する奥大和をトレッキングすることで、雄大な自然を作品を通して体験する芸術祭「MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館」が11月12日まで開催されている。
今年の芸術祭の舞台となるのは「吉野町」「下市町」「下北山村」の3エリア。これらの土地を歩き、その土地の人々と対峙しながら「自分の心のなかにある美術館」の展示をつくりあげていく芸術祭だ。
会期:2023年9月16日~11月12日
会場:奈良県吉野町、下市町、下北山村料金:無料
絵本からスケッチまで。安野光雅展(あべのハルカス美術館)
大阪・阿倍野のあべのハルカス美術館で、「安野光雅展」が開催されている。安野光雅は1926年島根県生まれ。42歳のときに出版した 『ふしぎなえ』は絵本作家としてのデビュー作で、現実にはありえない構造の図形を描いた文章のない絵本は、世界の注目を集めた。以来、2020年12月に世を去るまで半世紀以上にわたり画家、絵本作家、装丁家、エッセイストとして多彩な活躍を続け、国内外の数々の賞を受賞した。
本展では、津和野町立安野光雅美術館のコレクションより、1960~70年代の 『ふしぎなえ』『さかさま』『ふしぎな さーかす』や、2004年から4年の歳月をかけて中国をスケッチ旅行し完成した大作 『繪本 三國志』など、初期から晩年までの代表的な作品を展示している。
会期:2023年9月16日~11月12日
会場:あべのハルカス美術館
住所:大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス 16F
電話:06-4399-9050
開館時間:10:00~20:00(月土日祝〜18:00)※入場は閉館の30分前まで
観覧料:一般 1600円 / 大学・高校生 1200円 / 中学・小学生 500円