大成建設のル・コルビュジエ・コレクション、大倉集古館で約130点展示
世界有数の所蔵作品をもつ大成建設のル・コルビュジエ・コレクション。そのなかから約130点を展示する展覧会「特別展 大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ ~絵画をめぐって~」が東京・虎ノ門の大倉集古館で開催される。会期は6月25日~8月12日。
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東京・虎ノ門にある大倉集古館で、「特別展 大成建設コレクション もうひとりのル・コルビュジエ ~絵画をめぐって~」が開催される。会期は6月25日~8月12日。
本展は世界有数のル・コルビュジエ作品をもつ大成建設のコレクションから、約130点の作品を一堂に展示するものだ。
ル・コルビュジエ(1887~1965)は言わずと知れた20世紀を代表する建築家だが、そのいっぽうで数多くの美術作品を残したアーティストでもあった。本展に並ぶのは、油彩、素描、パピエ・コレ、版画、タピスリー、彫刻など様々なメディウムの作品。とくに、素描やパピエ・コレ作品がまとまって公開されるのはおよそ30年ぶりとなる。
ル・コルビュジエは1917年に故郷を出てパリに定住し、画家アメデ・オザンファンとともにキュビスムを批判的に継承した「ピュリスム」を提唱。機械時代に即し、大量生産の工業製品を普遍的なオブジェとしてそこに美を見出し、対象を幾何学的な形態にまで単純化し、黄金比や正方形を基準にした厳格な構図のなかで描いた。
1920年代末以降には女性を絵画の中心的テーマに据え、その姿形を描くことに注力。女性の姿は次第にデフォルメされ、変形していった。
第二次世界大戦中に一時的に事務所を閉めて疎開したル・コルビュジエは、絵画の制作に励み、身の回りの風景のみならず、過去作をもとに新しいアイデアを生み出していくようになる。また戦後になると、牡牛、翼のある一角獣、開かれた手、イコンなど象徴的なモチーフを繰り返し描くようになっていった。
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そして第二次世界大戦後には、その絵画表現は、油彩に加えて版画やパピエ・コレへと広がりを見せる。描く内容も象徴的なモチーフが中心であり、より記号的で平面的な、グラフィカルとも言える表現が特徴だ。
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ル・コルビュジエの建築を含むすべての創作活動の根底にあった、美術作家としての絵画への情熱。本展はその側面を十分に堪能できるものとなるだろう。
なお、会期中には古谷誠章(建築家、早稲田大学教授)、藤井由理(建築家、早稲田大学招聘研究員)、青木淳(建築家、京都市京セラ美術館館長)、加藤道夫(東京大学名誉教授)、中村研一(建築家、中部大学教授)、隈研吾(建築家、東京大学特別教授、東京大学名誉教授、早稲田大学特命教授)らによる複数のトークイベントも開催。林美佐(大成建設ギャルリー・タイセイ主任学芸員、本展監修者) によるギャラリートークも全4回予定されている。
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