「霧の彫刻」の中谷芙二子が高松宮殿下記念世界文化賞を受賞
第30回高松宮殿下記念世界文化賞(日本美術協会主催)の受賞者が2018年7月11日に発表。彫刻部門では、1970年代より人工霧を用いた「霧の彫刻」を手がけてきた中谷芙二子(なかや・ふじこ)が選出された。
世界的に顕著な業績をあげた芸術家に毎年授与される「高松宮殿下記念世界文化賞」。今年で30回目を迎えるこの賞の受賞者が7月11日に発表され、彫刻部門では「霧の彫刻」で知られる中谷芙二子(なかや・ふじこ)が選ばれた。
中谷は1933年札幌市生まれ。ノースウェスタン大学卒業。ニューヨークで66年に結成し、美術と科学の協働を理念としたグループ「E.A.T.」に参加。この活動を通して、1970年の日本万国博覧会「ペプシ館」にて、人工霧による「霧の彫刻」を発表する。以降、環境への関心をベースに、人工霧を用いた環境彫刻、公園、インスタレーション、パフォーマンスなどを世界各地で発表してきた。
いっぽうでは70年代よりビデオを用いた作品も手がけ、80年には原宿に「ビデオギャラリーSCAN」を設立。音楽家、舞踏家らとのコラボレーションも積極的に行ってきた。2017年フランス芸術文化勲章コマンドゥール受勲。
「彫刻」のほかに「絵画」「建築」「音楽」「演劇・映像」の計5部門からなる、高松宮殿下記念世界文化賞。絵画部門はピエール・アレシンスキー、建築部門はクリスチャン・ド・ポルザンパルク、演劇・映像部門はカトリーヌ・ドヌーブ、音楽部門ではリッカルド・ムーティがそれぞれ賞を受賞している。
なお授賞式は10月23日に東京・港区の明治記念館で行われる。